「ん?!」

先日、引っ越しの片づけが終わった我が事務所で、来訪した3人の仲間と雑談をして
いた際、「薬には、最後にン(N)がついた商品名が多い」という話が出ました。
きっかけはO君が「丹精にんにく酒(注・商標登録している)の名称も良いが○○○
ンと、いかにも薬みたいな名前にしたら良かったのに」の一言から。
私も以前から「末尾にンがついた薬が多いな」と感じ、それは語感的に座りが良く、
イメージ的に購買者にアンシン(安心)を与えるからか、さもなくばン(N)がついた
成分を多く含んだ薬が多いせいなのか?と考えていました。
例えば私が家庭常備薬などとして用いている、あるいは用いていた商品名を、思いつ
くままに列挙してみますと。

切り傷・皮膚疾患(昔はニキビ)にはオロナイン(軟膏)、スキンクリームはバルカ
ン(VALCAN)、薄毛の私用として養毛剤のパンテーン・カロヤン、食べ過ぎ飲み過ぎ
にはパンシロン・サクロン・キャベジン・オオタイサン(大田胃酸)、口臭除去とし
てジンタン(仁丹)、風邪にパブロン・ポポン(S)、頭痛や解熱にバファリン・ノー
シン、うがい薬としてイソジン。
ついでに、外で気休めに飲むドリンク剤はアリナミン・リポビタンのドリンク剤、寒
中のゴルフの時は背中にホカロン、体温や体脂肪率の計測器はオムロン。

話は少しそれて。
これも先日、事務所物件を探しに訪れた不動産屋の名前は「アキ不動産」。
老齢の創業社長の名前とは異なるので、商号の由来をたずねたところ「私の出身地が
安芸でして。それより、昔は電話帳の最初の方に店名が出たほうが電話がかかってく
る率が高いと思ったからですよ。
今では電話帳なんて誰も使わないでしょうがね」との返答。
なるほど。

そう言えば小学校時代は「出席をとります。青木君、五十嵐君、、、」などと、いつ
もアイウエオ順に名前が呼ばれ、父兄への渡し物の配付でも「順番に配りますから、
受け取った者から帰っていいです」と、ア行カ行のクラスメイトが次々と先に教室を
出て行くのを眺めながら、「チエ、あいつらイイナ!」と、へんなところで羨ましが
っていた記憶があります。
反対にアイウエオ順でも、男子が先ですから女子の「和田さん」とか「山本さん」な
どは、いつもビリッケツ。
「どんどん人がいなくなって、可哀そうだな」とも同情していたのですが、それも一
瞬のこと。
東井の名字は男子のほぼ真ん中でしたので、クラスでは名前を呼ばれるのがまだ早い
方。
先生から配付物を受け取った瞬間、駆け足で教室を出て、既に校庭で待っている級友
たちと、放課後の野球の陣取りに、いつもの原っぱに向うのでした。

名前といえば、私が高校時代に、今の若者たちには全く想像が出来ないほど、凄まじ
いほどの人気を博した歌手に、橋幸夫、舟木一夫そして西郷輝彦がいました。
まさに青春歌謡の「御三家」。
その当時、歌謡ショーの司会者として第一人者だった玉置宏氏が、テレビ番組でこう
語ったことがあります。
「大歌手になる人達には、共通した点が一つあります。それは名前・芸名が水に関係
しているということです」と。
なるほど。
確かに、「橋」「舟」「郷」は、水なくしては生まれません。
当時は御三家につぐ人気歌手だった三田明も「田」が関係しています。
でも、美空ひばりとか春日八郎(三橋美智也は「橋」、三波春夫は「波」)はどうな
んだ?という疑問も、同時に抱いていました。
そこで「ハハン、玉置さん一流の御三家に対するヨイショだな」とニンマリするのに
さほど時間はかからなかったのですが、今から思い返すと他愛無い出来事でした。
考えようによっては、それだけ日本自身が青春期にあり、誰もが希望に胸を疼かせて
いた時代だったといえるでしょう。

ついでに。
これも昔の話ですが、「新車には、Sから始まる名前が多い。イメージが軽やかで印象
が良くなるから」と聞いた覚えがあります。
しかし、余り浮かんでは来ませんでした。
スカイライン、サニー、シーマ、ソアラ、、、。
車フアンの方は、次々に名前が出てくるのでしょうか。
これも真偽のほどはわかりません。

話はもどり。
現代の社会にも「ン」で終わる単語が氾濫しています。
例えば、「現代のベートーベン」とマスコミにもてはやされた、佐村河内守氏の作曲
・全聾(ろう)の偽装問題、「STAP細胞」の発見を公表して世界を驚嘆させた、理化
学研究所の小保方晴子氏の論文盗用問題、さらに我が国を代表するホテルやレストラ
ンや百貨店などにおける、相次ぐ食品の偽装問題。
さらに、オレオレ詐欺に代表される詐欺事件の増加。
昨日のニュースでは、20代の男性ベビーシッターが、紹介サイトで託児した2歳の子
供を窒息死した事件が報道されていました。
他にも雇用、被災地の復旧事業、東京オリンピック準備事業の美名のもとに、莫大な
予算が計上され、その莫大な金の一部が湯水のごとくに関係団体に垂れ流される現状
が。
その額は今年度の補正予算と来年度の当初予算で、何と10省庁に関係して2兆6,400億
円とのこと。
それでいて、政府は「財政健全化のために、4月から消費税を8%に引き上げる」とシラ
ッと宣言し、すでに様々な商品やサービスが値上げラッシュに。

この日本の社会全体にまん延する、無責任さ、利己主義、ウソとペテンは、余りにも
異常。
さながら、ペテン、ダサン(打算)、ズサン、ギマン(欺瞞)が渦巻いています。
だから日本列島の上には、フシン(不信)、フマン(不満)、フアン(不安)の黒い
雲が覆っている感じになっているのでしょう。
こうした「ン」のキーワードは、ご免こうむりたいもの。

さて、季節は早や春のお彼岸に。
桜の開花も間近。
ここはせめて、なにがしかの「ロマン」を抱き続けて、暗雲を少しでも吹き飛ばした
いものです。

それでは、今週は少し早いですが、良い週末を。