いま(5月14日午後5時半)、名古屋から帰宅しました。
色々とバタバタしています。
留守中に何人かの方から、先日配布した拙書「良い週末を(7)」についてのお礼の
メールが届いていました。
同封した挨拶文に「最近、このエッセイも粘りと勢いと鋭さにかけてきたことを痛感
しており、この7号をもって最後になるかもしれません」と述べたことに対し、例え
ばAさんからは「そんなことはない。ますます切れ味鋭い文章になってきた」との励
ましのメールもありました。
しかし、「ありがとう」と感謝しながらも、やはり、パワーが希薄になってきたと自
省せざるを得ないのです。
何かを訴求する力が腹の底から湧き出でて来ないのです。
何故なのか?
当然に、加齢に伴う肉体と頭脳の衰えが要因でしょう。
しかしそれ以上の根本的要因があります。
「もういいではないか。何を言っても仕方が無い」という諦観が、心を萎えさせるの
です。
私はここ1〜2年における、我が国の政治の急激なファシズム化(一党独裁(絶対多数
議席の政権与党と、無気力な少数野党のと相対)、国会の軽視、強行採決の乱発、解
釈改憲の策動にみる憲法の軽視、マスコミの管理及び言論の統制、アンチ政権派の隠
然たる排除、排他的外交、そして情緒的な国粋主義の喧伝)に、驚愕しています。
少なくとも私の今までの人生において、初めて遭遇する極めて危険な政治状況。
そして、このような独裁的で強権的な政治状況にありながら、特定秘密保護法も武器
輸出三原則の見直しも、集団的自衛権の容認・行使も、あるいは消費税の増税も、原
発の再稼働も「賛成」「やむをえない」「政治には興味が無い」「景気が良くなれば、
あとはいい」と受け流し、多くの国民が現政権を支持している現状にも、唖然として
しまいます。
昨日、乗ったタクシーの運転手が「殺伐とした世の中だねえ」と話していましたが、
確かに社会の荒廃も歯止めが無く、凄惨な殺人事件、裁判官や教師や警察官などの
「聖職」に携わる者の破廉恥事件、科(化)学者の論文不正、連続放火や通り魔事件、
あくどい詐欺やイジメ事件、それに政治家や官僚や大企業経営者などのモラルハザー
ドなどが、連日のように報道されています。
まさに世も末の感があります。
喫茶店でも歩行中でも車中でも、誰もかれもがスマホに夢中。
自己の意見を持たず、皆と同じ行動をとり、仲間外れにならないように群れたがる人
々。
それでいていざとなると、困っている人や弱者がいても見て見ぬふりをする人々。
この様な社会は異様(と私には映る)。
こうした社会状況は政治権力を益々強大化させ、そこに行政や経済界やマスコミが従
属して、自分達の「既得権益」を死守する堅固な構造を構築していくのですから、未
曽有の出来事が起こらない限り、日本は破滅への道を暴走し続けるのではないでしょ
うか。
未曽有の出来事とは。
私が過去に何度か述べたところですが、それは、巨大地震の勃発(それによる原発事
故)、経済大恐慌と国家財政の破綻、そして武力戦争の開始。この3つと推察していま
す。
どれか一つが起こってもおかしくはないし、連動する可能性もあります。
2012年11月15日付の本欄で、「カウント・ダウンが始まった?!」と題し、当時の社
会状況に危惧を呈しました。
あれから1年半ほど経過しました。カウントダウンが「10,9,」と始まり、現在は5,4ぐ
らいの段階でしょうが、実態は3,2まで来ている感じがします。
夢と希望がなく疲弊しきっているせいなのか、現代の若者たちの「無気力・無関心・
無作為」は目を覆うばかり。
また、中高年の「身勝手」と「ムラ社会的な排他性」と「強者(権力)に弱く、弱者
に強い(冷たい)」態度は、実に情けない。
独断と偏見ですが、私には往々にしてそう映るのです。
もはや日本社会は飽和状態。
歴史は繰り返すと言いますが、このへんで一度崩れるだろうことを、覚悟せざるを得
ません。
戦後の昭和22年に生まれ、今日まで奇跡的に平和と繁栄の時代を生きてきた者として
、関東大震災や第二次世界大戦の惨禍をくぐり抜け、戦後は「民主国家・日本」の再
生・復興・発展のために大変な苦労をされてきた日本国の先輩たちのように、私もや
はり人生で一度は恐怖と絶望、そしてもしかしたらその後の希望に満ちた再生への日
々を体験するのが晩年の運命かもしれない、と覚悟しているのです。
その達観が、最近の文章の勢いを減速させているのだと思います。
これからの人生の限りなき可能性を秘めた、多くの若者たちや子供や孫。
これらの愛しき人達が、いつの日にか「生まれてきて本当に良かった。生きているこ
とは素晴らしい!」
と口に出せること。
そうした自由で平和な時代が来ること。
その1点が、今を生きる私の最大の望み。
それが叶うよう、私は私の生まれてきたことを感謝しつつ、毎晩寝しなに、畳の上に
ぬかずいて神に祈っているのです。
カウントダウンは、まだ終わってはいません。
それでは良い週末を。