5つのS

先日郵送されてきた滋賀県の広報誌「滋賀プラス1」を斜め読みしていたら、「滋賀
県の女性の健康寿命が、全国で最下位、、、」という記事に目が止まりました。
図表を見ると、女性の健康寿命は72.4歳で全国最下位(全国平均は73.62歳)。
平均寿命が86.7歳(全国平均は86.3歳)なので、その差が何と14.3歳もあることに気
付きます。
ちなみに男性の平均寿命は80.6歳(全国は79.6歳)、健康寿命は70.7歳(全国は70.42
歳)で、その差は9.9歳もあることに驚かされました。

広報紙では「健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活でき
る期間」と説明されています。
「日常生活が制限」とはどの程度の制限なのか?日常生活動作を例にとると、食事は
自分でとれるが入浴やトイレでは介助が必要な状態とか、痴呆や要介護○以上の状態
とか。
私の昔の記憶では「平均寿命−要介護期間=健康寿命」とシンプル。
いずれにしろ、滋賀県の数値から「人生の晩年は、10〜14年(全国平均では9.2〜12.7
年)もの期間、日常生活が制限される人生を余儀なくされる」ことを、再認識させら
れた次第。
滋賀県の広報誌は、だから県民あげて「健康寿命を延ばそう!」と唱え、「食生活・
運動・介護予防・社会参加」の重要性を啓発しています。
日本中どこでも待ったなしの、良い取り組みです。

滋賀県(甲賀郡水口町)は私の生まれ故郷。と言っても、戦時中、東京から父の故郷
である滋賀県に疎開し、戦後の昭和22年に私は生まれました。その2年後に一家で帰京
して今日に至っており、その間、水口町を訪ねたのは十数回程度。今は親類も離れた
ので全く疎遠。
故郷の香りも忘れました。
しかし、大津市とか彦根市とか長浜市などは出張などで何回も訪れています。
厚生労働省に在籍していた約15年ほど前には、国民健康づくり運動の指針「健康日本
21」の策定に関与した関係で、講演を依頼されて出張していました。
健康日本21の概説と、これからの我が国の健康づくり運動について話をしたのです
が、その中で、「私の健康法」を息抜きに話していたことを思い出します。

当時は、国や研究機関から健康づくりの指針が幾つか出ていましたが、単純明快だっ
たのは「5つのSをやめよう!」というもの。
Salt(塩)、Sugar(砂糖)、Smoking(喫煙)、Snack(間食)そしてSitting(運動
不足)。
でも、「何何をやめよう!」というネガティブな訴えも結構だが、ポジティブな働き
かけの方が人間は前向きに取り組めるもの。
そう考えて、私は「健康に良いことを、楽しみましょう。健康日本21の項目を参考
に、自分なりの健康法をモットーに定めて、気軽に実践するのも良いですね」と提唱
していました。
こんな具合に。
「それでは、他愛のない私の5つのSを話してみます。
まず、スポーツ。私は野球やゴルフやジョギングが好きなので、週に1回はいい汗を
かいています。
何でもいいから、軽く汗をかいて楽しめる運動を、日常生活に取り入れたいですね。
次に、酒(SAKE)。これはSaltやSugarと同様、取り過ぎては駄目。
と言いながら、いつも二日酔ですが。「酒は百薬の長、飲む過ぎれば万毒の元」です
よね。
次にsinging、歌を歌うこと。
腹の底から声を出して歌うのは、有酸素運動にもなるし、兎も角爽快になります。
次にscreen、映画観賞。私にとって心の滋養。どの分野の映画も面白いもの。
5つ目はsleeping、睡眠。いい夢路を辿れば、よく朝は元気溌剌。
以上の5つのSは、みな好きなこと、どうと言うことのないものばかりです。
だから長続きします。

さらに2つ加えれば、酢(SU)を飲むこと。
勿論、水で割って飲んだり、炒めものなどにかけたり。
疲れた時など、身体が蘇生してくる実感があります。
そして、深呼吸(sinkokyu)すること。
仕事中でも、街を歩いている時でも、ちょっとした時に大きく息を吐いてゆっくり深
く息を吸うこと。
西洋式の「大きく息を吸って、、、」ではなく、「大きく息を吐いて、、」から始め
ること。
「人間はオギャーッと泣き声を出して生まれ、息を引き取って亡くなるもの。
まずは出すこと!カネでも何でも、入れることばかり考えている人は、ここにはいま
せんね?
緊張や興奮をしているときは、てきめんに脈拍が落ち着いてきます。
ええっと、、あと一つのSがあるのですが、それは御想像にお任せします」
こんな話を思い出しました。

週末は、カラオケ店でビールを飲みながら「琵琶湖周航の歌」を高歌し、はるかなる
故郷に思いを馳せることにしましょう。
もう一つのSは滋賀(SIGA)でしょうか。

それでは良い週末を。