眠れぬ夏の夜に

梅雨が明けたら、暑さがひとしお厳しくなりました。
私はエアコンの冷房が苦手なタチなので、寝しなは設定温度を28度、それも1〜2時間
後に切れるように予約して寝るのですが、これがどうも厄介。
薄手のパジャマ姿で、夏掛け布団は足元に置いて床に就くのですが、10分もすると冷
え過ぎに感じて、29度に再設定。
しかし今度は蒸し暑くなってきて、背中がじんわり。
やむなく元に再再設定。
この28度〜29度ラインのせめぎ合いで、夏の夜は悪戦苦闘します。
中には「薄手の布団を肩までしっかり掛け、温度は25度ぐらいにして朝までかけっぱ
なしで寝れば良い」とアドバイスをくれる人もいますが、これが苦手。
この人工の冷気を一晩じゅう浴びていると、翌朝は必ず不調になった苦い経験が何度
もあるのです。
それでいて、シティ・ホテルでは(殆どのビジネスホテルは空調が良くない)25度に
設定し、薄手の羽毛布団をかけて、朝まで快適に寝られるのですが。
自宅の6〜8畳用の家庭用向けエアコンとは、冷気の自然さに違いがあるのか。
そもそも我が自室のエアコンが旧式で、機能が劣化して適切に稼働出来ないのか。
どうも割り切れません。その両方なのでしょう。

昨夜は、数日前に軽いぎっくり腰にかかって腰痛があるので、夜の10時に床に。
そこで仰臥しながら本を読んだりしていたら、妙なことに気付きました。
丁度、枕元からの目線が向く、部屋の左上の柱時計。
その時計の針は、前夜の9時に見た時は4時半を指していました。
前日のその時間に時計が止まっていることに気付き、電池を入れ替えたのですが、す
ぐに秒針が止まってしまうので、「これは電池切れではなく、本体の機能が耐用年数
を過ぎて不能になったのだろう。買い替えの時期だな」と判断。
諦めてそのままにしていたのです。
正方形の木枠の柱時計で、文字盤はオーソドックスな黒色のアラビア数字。
機種はSEIKOのクオーツで、平成3年頃では秒針が音もなく流れるように動く、当時で
は洒落た家庭用の柱時計だった、と記憶しています。
あれから23年も経過。
「残念だが、明日でも新しい時計を買いに行くか」と考えながら見つめていると、
「あれっ?」
針は、丁度5時を指しています。
誰もいじっていないのに、昨夜から30分動いているのです。
そこで枕元に電子時計の腕時計を置き、5分間で秒針の動きがあるかどうかを観察。
すると。
5分で秒針が6秒、例えば12時の文字から1時の文字を1分(1刻み)過ぎたところまで、
確かに進んだことを確認。
「ええっと、、、、。」
頭の中で計算を始めました。
5分で6秒進む。50分だと1分。その30倍の1,500分だと30分。
1,500分は25時間。
「今の時間は夜の10時。昨夜の9時から25時間が経過。時計の針は4時半から5時に。
なるほどぴったりだ!」
驚きました。

新しい電池を入れても、全く動かないと決めていたが、古時計はそれでも微かに脈を
打っていたのです。
私は妙に感心しました。
「まだ微かに動いている。生きているじゃないか」と。
しかしすぐに馬鹿な錯覚に気付きました。
「これは、無意味な延命措置でしかない。時計の寿命は終わっているのに新しい電池
を入れて、無理やりに脈拍を作り上げているだけだ。それも25時間かかって30分」と。
それから、急に思考は「尊厳死」に移行。

元厚生労働省の医政局長だったI氏が理事長を務める、社団法人日本尊厳死協会。
I氏は、尊厳死の法制化をライフワークに、この協会の理事長職を殆どボランテイア
として日夜こなしています。
私も彼から「一緒にやろう。手伝ってよ」と依頼された経緯があり(会員登録はして
いますが)、
元気でいるかな?と気になっていた矢先、22日の朝、朝日新聞の社説が目に入りまし
た。
その記事が連想ゲームの様に頭に浮かんだのです。
「公益法人認定・多様な価値観に立つ」の見出しで、当協会の公益認定申請が認めら
れなかったことに疑問を呈している内容でした。
公益認定等委員会は、法人の公益認定は尊厳死の認知につながるという懸念から、不
認定にしたことがうかがえました。
「どうでも良いような法人が、ほとんど公益財団とか、公益社団に認定されている。
それなのに、ここが不認定なのか。不特定多数の苦悩している方々に手を差し伸べ、
法制度の整備を標榜して活動するこの非営利的法人の実績に着目し、粛々と公益認定
をするべきではないのか」
そんなことを考えていると、身体が火照ってきます。
「いかんいかん。そんなことでカリカリしても、詮無いこと。
ああ、今夜は蒸すな。
そう言えば、内閣府の公益認定窓口の担当補佐だったA君は、今どこに異動している
のだろう。
彼と最近飲んだのは、すでに2年前の夏になるな。
彼は日本酒が好きで、強かった。
日本酒と言えば、先月、娘が送ってくれた「獺祭(だっさい)」の2本は、さすがに
美味だ。
「二割三分」(注・品名。4合瓶)が8,000円、それに「その先へ」(注・品名。4合瓶)
は、何と3万円だもな。よく送ってくれたもんだ。最後の一滴まで大事に呑まなくて
は、バチがあたる。
獺祭の蔵元は山口県。この酒の人気は、地元出身の安倍首相の宣伝効果(注・オバマ
大統領来日の際の、献杯用の酒に使用されたとか)もあるのだろう。それにしても安
倍首相はハイテンションだが、果たしていつまで続くのやら。
日本がブッつぶれるまでか。
特赦で出所した第二次世界大戦のA級戦犯が、後年「戦争の元凶は国民世論。それに
従った政治も弱かった、、、」という趣旨の証言をしていたそうだが、今の時代状況
も当時と酷似しているんだろうな、、、。
だめだめ。
もう詮無い思考はやめて、心静かに寝なくては、、、。
ああ、蒸し暑い!」

今年の夏も、寝苦しい夜を何度か繰り返しそうです。

それでは良い週末を。