意義ある1日

先週の木曜日(19日)は、軽井沢町国民健康保険軽井沢病院に行ってきました。
長い名称ですが、略称「軽井沢病院」。
北陸新幹線「軽井沢駅」から車で5分の、自然豊かな場所に立地。
一般病棟53床、療養病棟24床、回復期リハビリテーション病棟21床、人間ドック5床の
103床という中小病院。3階建ての建物の外壁や内装は薄いピンク色で統一され、まる
で高原ホテルに来たような雰囲気。
私が駅からタクシーに乗って着いたのは午後1時5分前。
急性期病棟は無く、それも午前の外来が終わっているので、玄関を入ると受付や会計
などがあるホールは閑散としており、廊下を行きかう人も少なくて、のんびりとして
います。
少なくとも救命救急や急性期の緊急患者などでごった返している、大病院の喧騒はあ
りません。
建物も10年ほど前に新築されたもので、廊下の幅やパブリックスペースは十分。
内科、外科、整形外科、小児科、耳鼻咽喉科など過不足なく診療科目を備えている、
サナトリウム的な高原病院というイメージ。
しかし、どこの病院でも「目玉」となる売りの診療科があるものですが、ここは整形
外科がそれ。院長が整形外科医であり、リハビリテーションにも力を入れているから
です。
しかし、この春からは院長の方針として人間ドックの拡充、特に脳ドックの充実を図
ることとなったので、早晩、脳神経外科も目玉となるのでしょう。

その脳ドックと健康管理の責任者は、今年3月で佐久総合病院・副院長職を定年退職し
た(佐久病院本院での外来は行っている)、脳神経外科の専門医・河野氏。
今回の軽井沢病院行きの理由は、昨年5月の佐久病院祭の懇親会でお会いした河野氏に、
久し振りで会い、新たな病院の様子と氏の仕事ぶりを見てみたかったこと。
そして河野氏に「一度は、脳ドックで自分の脳の状態を知っておくことは、大変意義
あることですよ。脳の各部の委縮状態、血管の状態、腫瘍などの異変の有無を知るこ
とにより、これからの予防や改善に役立ちます」という電話での会話から、脳ドック
を受診したくなったこと(河野氏が企画した、評判の検査内容だから)。

検査は、MRI検査、頸動脈(外頚、内頚、頸動脈分岐部、総頚動脈)エコー検査、下肢
血流・筋肉度検査、血液検査、心電図検査、判断・記憶力検査等。
一時間半ほどの検査後、氏の診察室でパソコンの画面で頭部の様々な画像の説明を。
脳内の白斑の度合いや記憶中枢など各部の委縮の度合いなどに関する画像、前後左右
斜めから撮影した、木の幹から枝が複雑に分かれて伸びている血管画像などが、鮮明
に映し出されています。
これほどリアルに脳内の画像を見たのは、生まれて初めてです。
河野氏から懇切丁寧な所見を聞きながら、フランクな質疑応答を繰り返しましたが、
時計を見ると1時間ほど経っていました。
結果は「特に異常なし」。
脳血管異常、頚動脈プラーク(血栓・垢)、脳委縮、血流異常がなかったということ
です。
氏からはその場で、手書きで一言コメントが書かれた20枚ほどのプリントした画像紙
や、他の検査結果のプリントが手渡され、さらに、「健康な脳を保つには」「健康ス
ポーツ」「筋力トレーニング」などの手作りパンフを頂きました。
私が「ほう、大したものですね」と感心すると、「佐久病院で予防の大切さを鍛えら
れましたから」
と二コリ。

話はこれで終わりではありません。
オチガあるのです。
私の判断ミスが。

実は帰りの新幹線の軽井沢駅の時刻が18時11分でしたが、この乗車をミスしたのです。
私は検査・診察が午後1時から2時間ほどで終了すると読み、午後3時以降から約3時間
で、病院がある中軽井沢の隣の追分に住むM氏に予め連絡し、夕食を共にする予定でし
た。
でも、気がつくと午後5時前。
夕食は無理なので、急遽取り止めの電話を。
すると、それを聞いた河野氏が「私が車で、駅まで送りますから、その方の家にちょ
っとでもお寄りになったらどうですか。折角の機会ですから」と、おっしゃったので、
お言葉に甘えることに。
そこで、その旨を先方に電話して、氏の車でM氏の別荘がある追分へ。
でも外はすでに真っ暗。
追分の別荘地内にあるM氏の別荘がカーナビでも、電話中継しながらでもわかりません。
私は以前に一度だけ訪問したことがあり、大体の道筋を承知しているつもりでしたが、
その時は真昼。それもM氏の車送迎で。
それでも目印のない別荘地は迷路でした。

ようやく探り当て、M氏の家の薪ストーブがたかれたリビングで、ほんの15分ぐらい珈
琲を頂きながら歓談。
私は「駅までは何分ぐらいですか?」と。
「何時の新幹線ですか」
「6時11分です。駅までどれくらいですかね」
「30分もあれば十分でしょう」
この時に私が明確に駅名を言わなかったのがミス。
ちょっと時間がかかりすぎではないか、と疑問を感じたことを口に出さなかったのが
ミス。
私は、皆さんが当然に軽井沢駅を前提に考えていると判断。
しかし、私が佐久市内のセカンド・ハウスを使用する時は、常に佐久平駅で乗降して
いるので、そちらのイメージが強かったのでしょう。

午後5時40分に駅へ向かったのですが、幹線道路はやや渋滞。
暗闇の近道をあちこちと走りますが、どうも街の風景に違和感が。
河野氏が「ここは身代田ですよ」といった時、「?」と感じなかったのがミス。
身代田は軽井沢の反対方向、佐久平寄りの地域。
巧みな運転で、渋滞する交差点を避けるため、スーパーの駐車場を突き抜けて道のり
をカットしながら「11分ですか。ぎりぎり間に合いますよ。ここは岩村田ですから、
もうすぐ佐久平駅です」
と河野氏がおっしゃって、初めて気が付きました。
「いや、軽井沢駅なんですが」と。

それでも車は佐久平駅前に9分に到着。
河野氏は「急いで下さい」と心配そうに。
私は「まだ大丈夫でしょう。。有難うございました」とお礼を言い、足早に駅の階段
を登り、改札口に。
軽井沢と佐久平間の切符を買う時間が無いので、改札の職員に「今来る東京行きの新
幹線に乗ります」と言うと、「もう出ましたよ」とつれない言葉が。
「出た?11分でしょ?」
「17時56分です」
この時、気が付きました。軽井沢発は11分だが、その手前の佐久平はもっと早いこと
を。
河野氏を煩わせたミスに、恥じ入りました。
幸い、40分後の新幹線への変更が出来(確か、定刻前の変更しか可能ではないはず)、
1階の軽食レストランで地ビールを飲んで気を鎮める事が出来ました。
それにしても、判断ミスが多い昨今。

脳ドックで「特に異常なし」の所見。
「特に」を付けてくれたのは、加齢を加味してのサービスだったかも。
加えて長年の飲酒によって、脳の委縮は否めないのかも知れません。
(注・画像診断では記憶中枢の委縮なし、でしたが)

脳天気と言われないよう、自戒自重しなくてはいけません。
それにしても、意義深い一日でした。

それでは良い週末を。