サボテンの花

慌ただしい1週間でした。
厳密に言えば、1月28日から2月4日の今日までの期間。
2008年2月に設立した我が会社「とおい倶楽部」の清算手続きが主な原因です。
足掛け9年になる今が、チェンジ・潮時・人生最終コーナーでの転機と判断。株式会
社を精算することとしたのです。
そして、これに伴い、現在の事務所の契約変更手続き(法人から私個人の賃貸借に)
や、借主の名義変更に伴う家賃や公共料金振込の銀行口座の変更手続きに奔走。

勿論一人で、印鑑登録証明書の交付、連帯保証人の実印押印、金融機関窓口での、振
込取消・新規申込などで、幾つかの支店を巡回。
会社の銀行印が届出印と相違し、調べると代表者の実印だったり、電気や水道や電話
などの会社のお客様コーナーに何回電話しても「ただ今大変混んでいます」の音声が
聴こえてくるばかりで、物事がなかなか進まず。
何とか主だったものは1月31日で済ませましたが、これからは法務局や税務署への清
算関係書類の変更登記・届出手続きが待っています。
(会計・税務処理の主要は会計事務所で)さらに、個人の確定申告の準備もこれから。
こんな節目の慌ただしい時期に、さらに余計なことを。
それは、ガラケー(正式には、折り畳み携帯電話)からスマホに移り替えたこと。

NTTドコモの「1月31日まで、移し替え割引サービス!」の宣伝に乗せられたわけでは
ないのですが、ガラケーのバッテリーが劣化して、充電を頻繁に行う有様。
そこで、バッテリーを交換する予定が、「そうだ、今の携帯の使い放題パックの料金
が月に約8,000円だが、今ならスマホに切り替えると、2年間はその半額のサービスが
受けられる。
スマホの利用者の主たる購入目的はゲームらしいが(ドコモショップの店員の話)、
私はそれも情報入手も地図などの付帯サービスにも、興味なし。
事務所と自宅にあるパソコンで十二分。
ただし、外での電話とメール機能は必要だし、さらに今回の移し替えで、カメラ機能
がアップするのが魅力」と考え、1月28日の午後に三軒茶屋のドコモ・ショップへ。
これが驚きでした。
店内は客が殺到しており、私の受付番号では何と3時間待ちとのこと。これでは午後4
時からの「篠笛の個人レッスン」にかかるので、やむを得ず諦めて半蔵門に。

しかし、ここでも慌てる羽目に。
今まで使用していた「7調子」という中位の音階の音色が出る篠笛を、先生に勧めら
れて上級者が用いている、低音が基調となっている太く長い「5調子」の篠笛に変更
していたのを、余り意識していなかったのです。
新たな篠笛での自宅練習はたった1回の200分ほどしかしておらず、レッスンでは思
うような音色が出ず、悪戦苦闘。
次回までにしっかり練習してくることを確約し、あたふたと帰路に。
そして三軒茶屋。
時計を見ると午後5時半。
とっくに順番が過ぎているが駄目もとで覗いてみると、何と電光掲示板には私の番号
がトップに。次です。
椅子に腰かけてほどなく窓口に呼ばれて、手続きをした次第。
だが、店員の最後の対応が問題でした。
「国内外のテレビ、グルメ情報、ミュージック配信、写真コレクション、アニメ映画、
マガジン、キッズコンテンツ、健康データ管理、補償・遠隔サポートなど、それぞれ
の付帯サービスが使い放題でそれぞれ300円から500円。
それが今ならすべて1か月間無料!」と、熱心に説明。
私は即座に「音楽配信だけ契約する」と返答。
目を酷使するのは、大量の本や雑誌や新聞と、パソコンの画面だけで十分。
その点、音楽は大好きだし、耳は疲れないからです。
機種もすぐに決め、すべての契約を終了。
しかし、7枚ほどの申込関係書類を受け取って確認すると、「本日ご加入いただいた
サービス」一覧表の、殆どのサービスに「レ点」がついているのです。
私の注文を度外視した処理。
「こんなのいらないよ」
「いや、1か月間無料ですから」
「だがね、年配の契約者は1か月後に契約解除の手続きなど失して、そのまま永遠に
料金を引き落とされる羽目になるんだよ。第一、最近はペーパーレスとか言って、料
金の詳細な受領書も送付してこないじゃない。ネットで見るったって、そんなこと年
配の者には余計な作業なんだよ」
「いや、おっしゃる通りです。だから1度お試しになって、いやなら明日でもご来店
いただくか、サービスセンターにお電話していただければ結構ですから」と。

ふざけるな、と議論したいところ。
でも、「後ろにはまだ10名ほどの人が待っているし、ここまでの99パーセントまでは
明瞭な説明でテンポよく機種の購入まで至ったのだし、店員のサービス獲得ノルマも
あるだろうから、
もういいか。明日、センターに電話して解約すればいい」と思い直し、その場を退場。
これが、やはり失敗のもと。
翌日、朝から5〜6回電話しても「大変混雑して通じません。このままお待ちになるか
、後程おかけ直し下さい」という、例の冷たい機械音声が響くのみ。
翌日も。
ようやく、他の番号から入り込むと、受付者の応対がとても丁寧。
「代理店の対応も少し問題ですね・・。こちらで解除の手続きをしておきます」との
返答を得て、ようやく1件落着。
しかし。
スマホを手に取ると、全ての機能がわかりずらく「かんたん操作ガイド」など読んで
も、不明瞭な点が多々。
友人知人にぼやくと「テキストは駄目。お店も不親切。誰かに教えてもらうほうが早
い。
まずは慣れですよ。とにかく今の時代は、全てが厄介で消費者に冷たいから」という
返答が多かったのが、印象的でした。

今日は、午前中に以前から予約しておいた「胃の内視鏡検査」で、中目黒のかかりつ
けクリニックに。
もう10年間、毎年ここで胃の検査。
「今回はやばいかな・・」と憂慮していったのですが、にこやかに「異常ないですね」
の主治医の言葉でホッと。
久しく忘れていた感動のさざ波が心に立ちました。
「いや、これは良い立春になりました」と笑顔で礼を言い、街に出たのです。
そして、近くの喫茶店に入り、昨日購入したイヤホーンを耳に当て(注・イヤホーン
も本体に付属しているとばかり思っていた)「dヒッツ」のお気に入りに入れた、チュ
ーリップの「サボテンの花」の曲を、しみじみと聴いていたのです。

今日は立春。
つい先日、元旦が終わったと思っていたら・・・・。
こうして日々が慌ただしくも流砂のようにさらさらと流れ去っていくのでしょう。
「サボテンの花」の歌詞の一部。
「♪春はもうすぐ、そこまで、僕の恋は終わった・・・」
私もこの頃、何か花びらの一片一片が順番に散っていっているような気がしてなりま
せん。
「これではいけない。もっとシンプルに生きなくては。シンプル イズ ベスト!」
と呟きながら、寒風が吹く舗道を、コートの襟を立てて急ぎ足で歩いているのです。
「春はもうすぐ!」と自らに励ましながら。

それでは良い週末を。