長い一日

今日は2月11日(木)。建国記念日。
朝の東京は、雲一つない青空。
天気予報では一日快晴、最高気温11度、日差したっぷりとのこと。

午前9時過ぎ。
輪切りにしたバナナ1本にヨーグルトとシナモンをかけたものを食べた後、外出。
駒沢大学駅前に抜ける住宅街の道路は、朝の静けさが漂い、植え込みの寒椿の花が風
に震えている。
空気が冷たい。
どこかの家の門前に国旗が掲げられているかと見回しても、まだ朝のせいだろうか、
全く見当たらず。残念。
この冴えわたる青空の下、朝の寒風にひるがえる白地に赤い国旗。
日の丸の深紅がさぞや美しく映えるだろうと、想像。
近年、祝祭日(国民の祝日)に国旗を掲揚する家を、殆ど見かけることはない。
そもそも祝日と祭日とはどう違うのか、などと疑問を抱く国民も多くはないだろう。
今日は、神武天皇即位の日を明治5年に「紀元節」と定めて国民の祝日としてきたも
のを、1966年に建国記念日に改称したということを、国民のどれほどが知っているこ
とやら。
要するに、法律で制定された「祝日の日」で、国民こぞって休もうということで、十
分なのだ。
私も、成人の日や体育の日が、いまやその年のカレンダーを見ないと何日かがわから
ない有様だから(昔はそれぞれ1月15日、10月10日に固定)、休日ならば祝日の意義な
どどうでも良い。それは給与所得者の時代から思っていたこと。

午前9時半ごろ。
駅前の喫茶店・ドトールに。
珈琲はさほど旨くないが、短時間くつろぐには手頃な店。
スマホでフオーク・グループ「アリス」の歌をメドレーで聴きながら、朝日新聞の朝
刊を拾い読み。
「新任閣僚ふらふら答弁」との見出しが目に。
衆議院予算委員会での岩城法相の答弁が混乱し、しどろもどろで立ち往生する失態。
丸川環境相が、「放射能の除染などで、国が長期目標と定めている年間追加被爆線量
1ミリシーベルトについて、「何の科学的根拠もない」と発言。その後「誤解を与え
た」と陳謝。
島尻・沖縄北方担当相も、歯舞・色丹など北方領土の担当大臣にもかかわらず、歯舞
(はぼまい)を読めなかったので、陳謝。
そんな記事。
情けない、の一言。
その紙面の上段には、「首相、高市氏の答弁追認」との見出し。
何か?
高市総務相が、「放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合に、
電波停止を命じる可能性がある」と発言したことについて、安倍総理が「従来通りの
一般論」と追認。
野党の「放送局への威嚇・恫喝の、なにものでもない」という抗議に対し、「安倍政
権こそ言論の自由を大切にしている」と答弁した、という内容。
「国民の信認を得て多数の議席を占めている政権。少数弱小野党は負け犬の遠吠えだ」
と、傲慢で不誠実な応答が目に浮かんでくる。
それでも、世論調査の政権支持率は上昇中。
全有権者の半数が投票を棄権する国の、うつろな現状を痛感。

イヤホンの音楽は、井上陽水のヒット・メドレー。
私の「お気に入り」にある選曲は、みなこうした昔の歌手のヒット曲が中心。
小林旭、美空ひばり、フランク永井から、ビル・エヴァンスのジャズ、モーツアルト
やベートーベンのクラッシック。
今流のBIGBANNGもあるが、これはつまらなかった。
陽水の名曲「傘がない」が流れる。
「♪都会では 自殺する 若者が増えている・・・・だけど問題は 今日の雨 傘が
ない。・・・行かなくちゃ 君に会いに行かなくちゃ・・・」
いつの時代も、若者の夢と関心と悩みと苦しみは同じとは言うけれど。
「どうだろうか。現代のほうが白けた辛い時代に思えるが。でも達観、いや諦観し、
余り先行きを考えることなく、刹那的に生きているのだろう」
そんなことを考えながら、今度は昨日の夕刊紙を拾い読み。
あった、やはり。
「永田町では有名だった・不倫イクメン代議士のゲスぶり」との大見出し。
「育休宣言」で話題となった自民党の宮崎代議士(34歳)が、同じ代議士で妻の出産
入院中に、グラビア・タレントと不倫をしていたという記事。
「何が育休か。子育ては他人任せで、自分は国会審議など関係なく、国からの多大な
議員報酬を使って不倫して遊びたいだけではないのか」と、まさにゲスの勘繰りをし
たくなる。

ここで話は昨日(10日)のことに。
昨日は午前10時。
貸金庫がある目黒駅前の銀行へ。
そこから銀行印や実印を出し、書類等を収納。
この2週間で5度ほどここに通ったことに。どこか段取りが悪いのだろうと、舌打ち。
午前11時。
神宮外苑前へ。
私が使用する賃貸マンションの媒介不動産屋。
貸主・借主及び連帯保証人・媒介者の実印が押印された賃貸借契約書を受理。
それから、83歳の社長とお茶を飲みながら雑談。
これが毎回、話が弾んで楽しいこと。
老社長から「東井さんはカラオケをやりますか」と尋ねられ、勿論と答えると。
「声を出すことは健康にいいらしいですね。今度、夕方からカラオケに行きませんか」
と誘われ、びっくり。
「私は、高齢者になればなるほど、声を出すヴォイス・トレーニングが必要だと思っ
ているので、カラオケにはよく行きますよ。
声帯は使わないとドンドン細く衰えますからね。世の中はメタボばかり騒いでいるが、
足と声帯と目を鍛えることも大事ですよ。
今度行きましょう。生ビールを飲みながら、ガンガン歌いましょう」と言って、店を
後に。
それから徒歩で5分の南青山へ。
11時半。
青山ツインタワー地下にある中華店「直久」で昼食をとり、一度事務所へ戻り、昼の
テレビニュースを。
何と、日経平均株価がさらに下落。
(終値は前日比372円安の15,713円。2月1日の17,865円から、10日間で2,152円も急落)。
今週の「週刊現代」は、「初めてのマイナス金利に備えよ」と、株や預金や年金やロ
ーンなどへの対処法を特集。
以前から、これからの株の低迷を予測した記事が多い。
一方、「週刊ポスト」は、華々しく「株も金も不動産も原油も全部上がる!日経平均
2万5千円も見えてきた」と勇ましい。
どちらの予測が正しく、どちらが国民を惑わすことになるか。
成り行きに注目。

午後1時半。
六本木交差点近くの銀行へ。
公共料金等預金口座振替手続きのため。
これがここ1〜2週間の最大課題。
電気・電話・水道料金の振替条件の変更だが、厄介なのは、これらの使用名義者が法
人(会社)から個人に変わること。
それに伴い、今までの会社名義の口座からの振替を解約し、個人口座を開設。その個
人口座からの振替を新規に申し込むこと。
さらに直前で気づいたことが。公共料金の中で、水道料金だけが会社名義の使用にな
っており、他は個人名義の使用でいずれも会社名義の口座から振替られていたこと。
きっと、前の事務所に入居した際、それぞれの料金ごとに振替日を記して銀行に依頼
書を提出したのだが、バタバタしていた時でもあり、それぞれの料金ごとに日にちを
置いて依頼書を提出していたから誤謬が生じたもの、と推察。
さらにさらに、どの印鑑を手続き上の書類で使用するのかが、不明。
そこで仕方なく、3個の印鑑、会社と個人の預金通帳(支店は別)、それに直近の各料
金の領収書(お客様番号等が記載)を鞄に詰め、いざ出陣となった次第。

店内は飛び石連休前で、混雑。
これは弱った事態だと、受付番号札を取る前で立ちすくんでいると。以前にも何回か
カウンター業務でお世話になった、ベテラン女子行員が「今日のご用件は?」と尋ね
てきたので、来店目的を説明。
これが実に幸運なことだった、と後で痛感。
先週、長い時間待たされ、ようやくカウンター窓口で行員に尋ねたら、中堅ぽい行員
もしどろもどろ。
内の人に聞きに行ったりし、ようやくまずは依頼書を提出することを指示されて、出
直し。
今日も混乱するだろうと覚悟をしてきたのだが。
結果。
そのベテラン行員が傍らで依頼書の記入等を指導してくれ、私はコートを脱ぐことも
忘れ、汗をかきかき書類を作成。
ようやく番号札を取り、順番待ち。しばらくして窓口の担当者に提出。
でも、安堵は一瞬。「銀行印が違うようで・・。他にお持ちですか?」と。
慌ててもう一つの印を取り出して押印。
なかで照合中。ようやく再呼び出しで窓口に行くと「これも違うようで・・」と言わ
れ、頭がクラッと。
でも瞬時に、「二つとも現在使用している口座の会社印だった。これは解約届ではな
く、新規依頼書。個人名義の通帳印
が必要だったのだ」と気づき、最後の印を取り出して押印・提出。
これで無事に落着。
係の行員が渡してくれた控えの写しを貰い、先ほどのベテラン行員に一言お礼を言う
と、ほっとした笑顔を向けられ、
満たされた気分で退出。
時刻は閉店間際の午後2時55分。

外に出ると、何やら開放的な気分となり、久しぶりに俳優座の裏の純喫茶「らぼ〜
る」へと。
しかし(今回はしかしが多いが)、行ってみるとそこは駐車場に変貌。
「まいった。この名店もつぶれたか」とがっかりし、一角先を曲がろうとしたとき、
ふと反対の角を振り返ると、ぽつんと「らぽ〜る」と書かれた看板が目に。
「まさか!」と思いながら、ドアを開けると、入ってすぐ、見慣れたマスターの顔が
視線に。
「どうしたの。久しぶりだね」と、マスター。
「いま、店に行ったら無くなっていたんで、帰ろうとしたら、ここにも喫茶店がある
から飛び込んだんだが。いや、移転新築したのか。驚いたな」
「もう、2年前ですよ」
それはちょうど、乃木坂から青山に事務所を移転した頃。
2年の歳月の流れに愕然。
50個ぐらい棚に並んでいる珈琲カップの中から、マイ・カップとしてきた藍色の小ぶ
りのカップを見つけ、
それでドトールの5倍は美味い珈琲を、ちびりちびりと満喫(ちなみに料金は550円。
ドトールの2.5倍は安い)。

午後3時半。
喫茶店を出て、六本木から外苑東通りを乃木坂・青山1丁目に向かって帰路に。
途中、山王病院前に、テレビカメラの人たちが群れており、日テレ、TBSなどの名前
が。
「何だろう?」と推察してもわからず。
そこで、すぐにNHKのO氏に電話。
彼は「何だろうな。うちは、いますか?」と。
「いや、見かけなかったけど」
「それでは芸能のほうですかね」
「つまらない電話をして、すいませんでした」と切り、事務所に戻ったあと、彼から
電話。
「例の育休代議士の関係かも・・・」という言葉。

明けて今日。
午前8時半。
何げなくテレビをつけ、朝のワイドショウを観ると、前述のイケメン代議士の不倫報
道が各局で放映中。
昨夜8時頃、代議士の妻が入院している病院の建物から、車で出ていく彼の姿が映し
出されていた。
寒風の中で、あれから5時間近く待ち構えていた記者たちの仕事に感心するとともに、
またまた、今どきの代議士連中のお粗末さに、世も末の嘆息を禁じえなかった。

いやはや、これからの世の中はどうなっていくのか。
そのあたりの私の心境は、昨年末のエッセイ「末世の師走に」(2015年12月3日付)
に書いてあります。
再読いただければ嬉しいです。

節分を過ぎて、暦の上でまさに新年がやってきた今、思いつく言葉は「節から芽が出
る」。
芽が出るか、それとも凍土に沈みゆくか。
日本にとっても世界にとっても、正念場の一年になることは、間違いないでしょう。

それでは良い週末を。