東井朝仁 随想録
「良い週末を」

くちなしの花よ

おはようございます。
今朝の東京の空模様は、曇り時々小雨。
朝日新聞の朝刊を開くと、「都知事21日付辞職」「舛添氏「自らの不徳」という大き
な見出しが1面トップに張り付いています。
さらに他のページを開くと、2面、15面、21面、34面、35面と、ほぼ全面が
「舛添辞職特集」の様相。
ここずっと、新聞もテレビも週刊誌もこの問題で連日の大騒動。
全てのマスコミが総動員して毎回毎回「家族とのホテル宿泊費用を、政治資金で充てた
が、公務なのか。相手の名前を公表せよ。説明責任が足りない」等々と、1976年の
ロッキード事件で、田中角栄首相が「5億円の受託収賄容疑で逮捕」された時のような
異様な騒ぎ方。
戦後、政治とカネの疑惑でマスコミや国民が騒いだ問題は、日本の政治の屋台骨を揺る
がすものが多かった。
政治家の背後にうごめく社会の巨悪、利権構造などの摘発となって騒がれたものです。
それが今や、「クレヨンしんちゃんの漫画も、政治活動に必要なのか」など、都議会で
も床屋の政治談議と見まがう光景が。
熊本地震の次に、首都圏直下型地震の発生があるのではないか、という日ごとに増す都
民の不安に対して、具体的な防災対策の進捗状況はどうなっているのか。間近に迫って
きた東京オリンピックは、本当に安心・安全な祭典として開催できるのか。オリンピッ
クの後には未曽有の超高齢社会が到来するが、医療・介護・福祉・保育面での対策は大
丈夫なのか。
アメリカではISによる乱射テロで約50人が射殺されたが、日本のテロ対策は等々、
待ったなしの喫緊の重要課題が山積しているのに。
国会も都議会(地方議会)も、いつも議員が声高に張り切るのは、誰もが反対できない
「政治とカネの問題」。
それもマスコミの情報を材料に。
政治はいつからか、反知性的なワイドショウ化し、マスコミは売らんがためにこれを膨
張させ、あおり立てているだけの感が否めません。

私は、舛添氏の公私混同した政治資金の流用は、政治に対する信用を失墜させる行為と
して、当然、その姿勢が厳しく問われて然るべきだと考えていますが、それにしてもこ
の長きにわたる騒ぎは、異様。
影では、もっと巨額の不正な政治資金流用や贈収賄が行われているはず。
狙うべきはそれらの巨悪なのですが、そちらのほうは・・・。

今の時代というか、今の今、日本は「衰退から崩壊への道」を転がり落ちて行っている
気がしてなりません。
政治家も企業家も文化人も社会運動の指導者もマスコミも、本当に劣化した。
そうとしか思えないのです。
国民を含め日本全体が幼稚化、無気力化してしまっているよう。
それは日本だけではなく、アメリカも同じ。クリントン氏とトランプ氏の大統領選を観
ていても、「あのアメリカが、こうした人しか候補者がいない国になったのか」と、驚
きます。
もう、ボヤキ的な話はやめましょう。
詮無いことですから。
一昨年ぐらいからこの週末エッセイでしばしば述べてきたことですし。

ただ、この日本を覆う閉塞感・諦め感を払しょくする「妙手」が、ないものだろうか。
暗い空の下で、ひっそりと健気に咲く白いくちなしの花に、そう語りかけるこの頃です。
「くちなしの花よ、答えておくれ・・・」

それでは良い週末を。