がんばろう日本人、仲間たち |
現在、マスコミからは日替わりメニューで「重大ニュース」が次々に報道されています。 米国によるシリアへのミサイル攻撃、北朝鮮の脅威除去を大義名分とした米国と韓国の合 同軍事演習、米国の原子力空母の朝鮮半島近海への出航、原子力空母と日本の海上自衛隊 との日本近海における合同訓練の計画調整、これに一触即発の挑発を繰り返す北朝鮮、韓 国大統領の逮捕と韓国大統領選挙並びに従軍慰安婦問題の再燃、ISによるエジプトでの爆 破テロ(45人以上が死亡)を始めとしたロシアやトルコ等でのテロ事件の続発等々。 いつ日本がこれらの渦中に引き込まれるか、全く予断ができない国際情勢。 一方、国内では成り行きが不透明の森友学園問題や東京都の豊洲市場問題、経営が急降下 する東芝の成り行き、共謀罪法案の国会審議入り問題、今夏の都議選の動向、経済産業省 が試算した福島第一原発事故費用21兆5000億円の費用負担問題(民間シンクタンク の試算では事故処理費用は50〜70兆円になると試算)、そして6年後に団塊の世代が 大挙75歳の後期高齢者となり、「超高齢社会」が到来する2025年問題等々。 枚挙するときりがないほど、様々な問題や事件が報道されています。 国内外共に、そのどれもが困難問題で、容易に解決を見ないままに、次々と新たな問題が 噴出。 1年前の熊本大震災や6年前の東日本大震災さえも、被災地以外の人々の思いは、霞んで しまうほど。 だがマスコミは、圧倒的多数議席を占める現政権の意向を忖度しながら、情報を垂れ流し 続けるだけ。 国民は情報過多の渦に飲み込まれながら、多くの人が疲労感と無力感に陥り、自分に少し でも関係ない事象に対しては、無関心に徹して生きているように見えます。 「長いものには巻かれろ」と。 「案じても詮無いこと。自分のことが第一」と。 だから、NHKの世論調査の結果を見ると、どの回どの項目も、必ず「賛成・反対」「支 持する・支持しない」以外の「どちらともいえない」と回答する者が、全体の3割以上に も上っているのです。 要は日頃から情報を深くとらえず、われ関せずとばかり、自分はどんな満員の車内でも、 混雑したホームを歩きながらでも、スマホの世界に入り夢中でゲームなどに興じているか ら、「そんなこと、わからない」となるのでしょう。 あるいは、日頃からYES、NOと自分の意見を主張する習慣が、いい年をしても養われ ていないせいかもしれません。 そもそも「現内閣を指示する理由」に「他より人柄が良さそうだから」などという回答が 上位を占めるのですから、日本の有権者には(どこの国もそうかもしれませんが)、政策 やその実行力を評価するより、その時その場のフイーリングを優先する国民性が根強く浸 透しているとしか、考えられません。 だからテレビでちょっと顔が売れているタレントや文化人が立候補すると、軽々と当選し てしまうのでしょう。 付和雷同、他者志向、排他主義(島国根性)、熱しやすく冷めやすい国民性。 話は変わりますが、最近、私の住んでいる三軒茶屋駅前の本屋が廃業しました。 チェーン店の文教堂。 閉店前に店員と話したら「本が売れないんですよ。さみしいですよ」とのこと。 今週発売中の某週刊誌のコラムで、ある大学教授が「2時間で読了できる本を指定し、こ の感想文を次週の講義までに書いてくることと指示した。だが翌週、多くの学生から『こ んな長い文章の本なんて、読めない』とブーイングが上がった。これには愕然とした。読 みやすく面白い本だから勧めたのに、この程度の本が読めないとは。今の学生は本当に本 を読まない。反知性主義が蔓延している」と慨嘆していたのを思いだしました。 そういう時代なんだな、とつくづく考えさせられました。 豊洲市場の問題で、都が設置した百条委員会での証人喚問や都議会での審議でも、全く質 問者の質問に迫力がなく、突っ込みが足りなく、「記憶にない」の答弁で何も明らかにな らないまま。各都議会議員は、今まで真っ当な審議などしたことがなかったのではないで しょうか。 失礼ながら国政と違って、地方議会はこの程度のものなのでしょうか。 耳障りの良い政見だけを、マニュアルに従って口先で並べて当選した、見識も経験もない 議員が、きっと多いのではないでしょうか。 私の記憶では、国会も都議会も、昔と比べたら相当低レベルになった感が否めないのです。 要は、主権者たる国民の劣化なのでしょう。 フイギュアスケートの浅田真央選手の引退報道が、10日から続いています。 朝日新聞など、1面と社会面を使って連日大騒ぎ。 「真央ちゃん、お疲れ様」「あふれる涙、輝く笑顔、真央がくれた」と、社会面やスポー ツ面のほぼ全スペースを使って。 これはこれで微笑ましいですが、私にはちょっと違和感が残ります。 だいぶ前から、マスコミが先導して、何かがあるとすぐ「勇気をもらった」「元気をもら った」「絆を大切に」「がんばれ、日本」の常とう句が氾濫します。 その一方で、米国のシリアへのミサイル攻撃については、「政府のシリア攻撃支持。公明 ・山口氏『理解する』」と、小さく掲載されているだけ。この問題に対する様々な検証、 例えば「シリアのアサド政権が毒ガスを使用したから攻撃した」、とする米国の主張の裏 付け検証などが、紙面を使ってもっと行われて然るべきだと感じるのです。 とにもかくにも、この無味乾燥で空疎感に満ちた国内外の状況。 そうした時代が砂時計の砂のようにさらさらと流れ、悠久の時が静かに過ぎてゆきます。 ここはひとつ、「がんばれ、日本」というように国家を基調とした表現をとるのではなく、 もっと国民各人に視点を置いて、檄を発したいもの。 「がんばろう、日本人、仲間たち」と。 今日と言う日は二度とこないのだから。 それでは良い週末を。 |