工 事 二 つ (2) |
前回の「ドコモ光・回線工事」に続いて、今回は「外壁塗装工事」の話です。 外壁は、世田谷区上馬にある、木造モルタル2階建て我が家の外壁のこと。 この築10年の中古住宅を購入したのが1990年(平成2年)6月14日。 ちょうどこの6月で満27年が経過。 その間に、屋根瓦の交換及びスレートの塗装、床下のシロアリ駆除、浴室の全面改築、台 所・食堂のフローリング化、トイレ2つのウオシュレット化、2階ベランダの改築、1階 2階の主要部分6ヵ所(6面)の耐震補強工事、各室の壁紙・絨毯の張替え、畳の交換(2 回)、クローゼットの改修等々を実施。 自宅購入の頃「一戸建て木造住宅は、補修や改修で費用がかかるよ」と先輩に言われまし たが、本当にその通り。「もうこれで完了」と言うことはなく、歳月を重ねるごとに次々 と不具合が出てくるものです。そしてその都度、手当をして復元してやらないと、家は崩 壊してしまいます。 加齢とともに身体のあちこちが悪くなり、その度に病院通いをして治療に励む人間と同様 です。 我が家の外壁塗装工事は、前回は15年前に行いました。 私が55歳の頃。 あれから年を取ったのは私だけではなく、家も老いてきたのです。 モルタル壁の塗装寿命は、ほぼ10〜15年が限度とのこと。 今回は西側、台所・食堂のある部屋の外側の面のごく一部が剥離。 現場をチェックして貰った結果、その面だけではなく家の4面全体を塗り替える必要があ るとのことで、塗装工事の契約を交わしたのが、4月17日。 ここで状況判断には自信を持っている私めが、ちょっとしたミスを。 工期を即断して工務店に着工日を指示するべきところ、悠長に構えて話をするのが1週間 遅れてしまったのです。 頭の中で「今は5月の連休前だから、工事は連休明けからだな。遅くとも完了は6月10 日頃、梅雨入り前には終わるな」と計算を立て、見積書等を取り寄せて話をしていたので、 当然私の思惑通りにことは進むと思い切っていたのです。 ところが24日に「工事着工は連休明けの5月9日の大安から。2週間もあれば下旬には 完了するでしょうから」と工務店に電話をすると、「あのう、その日から新規の仕事が入 っておりまして。25日からが最短なんですが」とのこと。 私と同様に工事契約を考えていた顧客がいたとは、と我が対応の遅れに、思わず舌打ちを。 4月17日に、ツバをつけておくべきだったと。 やむを得ず工事は、5月25日から6月10日までの期間に決定。 しかし、連休が明けると先方から電話があり、「27日からにしていただきたいのですが。 職人の一人が怪我をしてしまい、いま行っている工事が2日ずれてしまうんです」とのこ と。 「仕方ないね」、と落胆し「27日から始まって2週間後・・ええっと6月10日に完了 予定。 何とか梅雨入りぎりぎりですね」と返答。 だがしかし、またもや1週間後に連絡が。「この間に雨で工事が2日流れたので、27日 の土曜日と28日の日曜日も総出で仕事にかかることになりました。工事は29日の月曜 日から行います。足場の工事から入らせていただきます云々」と。 結局当初より4日遅れで工事に突入。 足場工事、養生工事、飛散防止ネット張り、高圧水による全壁洗浄工事、弱膜塗膜撤去工 事、プラスター削り落とし撤去工事下地調整塗装、外壁中間・仕上げ塗装工事、雨戸パネ ル・雨樋、配管等塗装工事などが、朝の9時前から夕方5時まで連日行われたのです。 職人は40前後の男二人(時には3人)。 時々、私は工事の進捗状況をうかがいながら、機具や鉄パイプやペンキ缶が積まれた庭先 の一隅で、彼らと立ち話をしたり、家に上げて冷たい飲み物を飲みながら進捗状況をたず ねたりしていました。 背の高い現場責任者の男は、俳優の時任三郎似で、柔和に微笑んだ顔に、ついこちらもつ られて口元がほころぶほど。 年上の相方には丁寧な指示を与え、自分は淡々と重労働をこなしている仕事ぶりは、とて も好感が持てました。 工事完了は12日(月)の午後5時。 毎日、その日の仕事が終わった跡は、道具や荷物が整然と整理され、空いた庭の部分はチ リ1つないほど綺麗に掃除されていたのには感心させられましたが、最後の日のこの時は、 道具も荷物も余計なものは全てトラックに積まれ、普段は狭苦しい庭先が、とても広く 清々しく見えたほどでした。 私は、二人にそれぞれ銘酒を一本ずつ差し上げ、「短くも長きにわたって、工事ご苦労様 でした。お陰で綺麗になった。 これから何かあったらS君(時任に似た職人)に連絡するから、末永くよろしくな」と、 握手。 彼らは「よろしくお願いします」と軽く頭を下げ、にっこり笑ってトラックに乗って去っ ていきました。 私は今回の工事はとても良かった、としみじみと思いました。 まず、一番懸念されたのが、この時期の天候。 雨が降った日は仕事は中止。当日は朝から晴れていても、前日の雨の具合で足場が悪い時 は中止。 現場仕事は天候に大きく左右され、それにより工期も延びるし、職人の士気も下がります。 塗装の乾きも悪くなります。 ところが、今回の天気は15日間の工期中、雨で作業が中止になったのは1日だけ。 残りの14日はほぼ晴の日ばかり(曇りの日が1日、曇り時々晴が1日、快晴又は晴が 12日!)。 私は毎日、カレンダーにその日の天気を書き、翌日以降の天気予報をテレビで気にしてい ました。 その願いが叶ったとしか思えない連日の好天は、この時期では奇跡でした。 ちなみに工事が終わった翌日の13日(火)は、朝から雨。 そして次に良かったのは、職人の仕事ぶりと性格でした。 朝は玄関から「おはようございます。これから仕事を始めます。今日は○○の作業です」 と挨拶があり、帰りは「今日はこれで帰ります。○○が済んだので、明日は○○の塗装に 入ります」との報告が定例に。 冷たい飲み物を飲みながら、「君はスポーツは何をやっているの?」「僕ですか。野球を 少し」「守備はどこ」「肩が弱いので・・ライトでなくレフトです」「いいね。酒は?」 「好きです。仕事があるので、飲むのは休みの前の晩ですね」「何が好きなの」「何でも ですね」「それはいいね。今度機会を作って飲みたいね」 そんな話を交わしていても、常にさりげない微笑みを絶やさず、好感がもてる壮健で爽や かな男たちでした。 以上が今回の「外壁塗装工事」の顛末の一部。 今度この工事を行うのは、10年後?15年後? その時私は、生きていれば80歳?85歳? 私も家も老いていくのは宿命。 これからはより一層、お互いに気配りをし、かばい合いながら生きていくことが大事。 我が家よ、余り先急いで老けないでおくれ。 私たち一家が雨露しのげる空間を、これからも身体を張って確保しておくれ。 そのかわり、こちらも健康には注意して、最後まで必死に面倒をみてやるからな。 次にして貰いたい工事は何だ。 なるだけ金がかからないように、地震や台風や雨風やネズミやシロアリなどに負けず、何 とかこらえて頑張っておくれ。 いつも感謝しているよ・・・ そんな独り言をつぶやく、今日この頃なのです。 それでは良い週末を。 |