足るを知って来年へ
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今年の一文字漢字は「北」とのこと。 北の意味は、広辞苑でも文字通り、方角の北。 北の選定理由は@北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験によって、国民の多くが脅威と不安 を感じた1年だったから。 A九州北部の豪雨・洪水により、甚大な被害が発生したことが、まだ記憶に新しいから。 そんなことかららしいです。 しかし、年末の恒例行事となった、大きな筆で大きな白紙に揮ごうをふるった清水寺の貫 主によると、「北という字は、人と人が背を向き合っている姿」と述べていました。 まさしく、この1年は、人と人、国と国、民族と民族などが「反目」を続けた年だったこ とには違いありません。 2文字言葉だったら「反目」と表現できたでしょう。 考えれば、トランプの「アメリカ」ファースト、それを真似た小池都知事の「都民」ファ ーストも、「自分たちだければ良い」というスタンスで、常に敵を作って憎しみと動揺と 混乱の種を振り撒いているような気がします。 私個人の、今年の一文字漢字だったら「足」。 身体の足、歩くこと、という意味もありますが「足りること。十分であること」を意味す るのです。 世の中、春夏秋冬を通しての驚異的な異常気象による災害の続発や、政治家の堕落(官邸 まかせで、国会は機能不全。その間の暴言・失言・不倫・活動事務費の不明朗な使途等々、 政治屋の質の低下)、「大林組」の談合疑惑を始めとして、東芝、日産、神戸製鋼、東レ など大手大企業のコンプライアンス違反の頻発、社会では日常茶飯事の殺人事件の発生、 森友・加計学園問題、横綱の暴行事件、聖職者(教員、警察官など)の破廉恥事件、詐欺 ・横領・脱税の増加等々、今年は国際問題はさておき、国内的には殺伐とした1年だった と思います。 それでも私個人の1年を1文字漢字で表現すると、「足」と言っていいでしょう。 まずは@今年も無事に生きてこれたこと。 A大きな病気やケガに無縁だったこと。 B経済的に困窮することなく、3食満足に飲食ができ、好きなところへささやかな旅行も できたこと。 C家族たちのことでの「心配事」がなかったこと。 「なんだ、そんな消極的で小市民的なことか」と笑われそうすが、これが正直なところ。 「足るを知る」と言いますが、今年一年、病気等もなく生きていることは、考えようによ っては凄いこと。 野菜の煮物を肴に、毎晩、好きな銘柄の酒で晩酌をずっと続けられたことも、平凡かもし れませんが、凄いこと。 そんな風に思えます。 何よりも、70年間生き続けてきて、今年は古稀という節目を迎えられたことは、これも 自分では「満足」と思っています。 そんなこんなで、今年もあとわずかで終わります。 私の親族にあたるかどうかわかりませんが、教育者で敬虔な浄土真宗の信者・東井義雄氏 は「一日一生」という詩で、こう述べています。 「今日一日を誠実に生きていくことです。たとえ苦しいことがあっても、今日一日だけ、 と思えば耐えることもできるし、また楽しいことがあっても、一日を区切りと考えれば、 その楽しさに溺れてしまうこともないのです。今日一日を頑張ろうと思えば、退屈するこ ともありません。一日一日を新しい気持ちで向かえれば、一日が新鮮になってきます」 私が今まで辟易とするほど繰り返してきた「一日生涯」。 この意味と同じです。 さあ、来るべき年も「たった一度の人生における、二度とない1年」。 健やかに明るく元気に一日一日を過ごしていきましょう。 今年もお世話になりました。 このメールを通してのご縁も、世界の人口が現在、約74億4118万人いるなかで、海 洋の水を手でしゃくるほどの少ない数。 それでも生まれてきてこうしてメールしあえるということは、人生における貴重な縁。 この縁が来年も幸せに続くことと、皆様の健康と幸福を祈って、今年のエッセイを終わり ます。 どうか良き年をお迎えください。 それでは良い週末を。良い新年を。 Good luck! |