東井朝仁 随想録
「良い週末を」

             20 年 の 歳 月
「良い週末を」は、ほぼ毎週末にその頃その時に感じ、考えたことを、友人・知人に向け
てEメールで配信しているエッセイの主題名です。1999年1月から配信を開始して今
日に至りましたが、この間、足掛け20年の歳月が流れました。書いてきたエッセイは現
時点で約850篇に及びます。
これらを1〜3年ごとに取りまとめ、備忘録的に小冊子にし、ご縁のある方に今まで第9
巻まで配付してきました。
そして今回、2017年10月から2018年8月までの分を第10巻として取りまとめ
ました。
ほぼ1年弱の期間ですが、今までの20年間で一番「書くのが重い」1年でした。
それは、私が70歳(古希)を迎えて心身のエネルギーが低下してきたこともありますが、
それ以上に「書く意欲」「発信する情熱」が薄れてきたからです。その原因は単なる精神
と肉体の機能低下だけではありません。
日本社会の変化(劣化)が背景にあります。
国家社会の指導的立場にある政治家や官僚や企業家の劣化、あるいは民間団体の堕落(例
えば現在騒がれている、スポーツ団体(法人)幹部によるパワハラなどの不祥事)などに
象徴される日本社会の腐敗が、この20年間で最悪の状態になっていると、心と肌で痛い
ほど感じているからです。
「もう、日本社会は末期的症状を呈している」と。

敗戦直後のアメリカ占領下の日本で、吉田首相の片腕として一人、マッカーサー(占領軍
総司令官)に鋭い進言を繰り返し、GHQ(占領軍総司令部)と対等に渡り合い「従順な
らざる唯一の日本人」とささやかれた、伝説の人・白洲次郎。
彼は「日本人にはプリンシプル(原理原則・主義)がない」と日本人の特性を喝破し、こ
う続けています。
「政治というのは、国民に夢を持たせることなんだよ」
「太平洋戦争前は、日本の全部が自己陶酔だね、一種の。はじめは小っちゃな嘘をついて、
それがバレそうになると、だんだん嘘を大きくしていくんだな。しまいにその嘘を本当だ
と思っちゃうんだ」
まさに、現在の日本の社会状況と瓜(うり)二つ。
私はそう強く感じています。
夢や希望がない。嘘と隠蔽と利己主義と無責任はてんこ盛り。
果たしてこんな社会状況の延長線上に何が待っているのでしょうか。
そんなことをひしひしと感じさせられた、この1年でした。
それでも何とか、小冊子「良い週末を(10)」を、別途配付する運びとなりました。
明日に望みを託しながら・・・・。

お暇なときにでも、ご笑覧くだされば幸甚です。
それでは良い週末を、良い日々を、良い人生を!