東井朝仁 随想録
「良い週末を」

あなたに逢えて良かった
今年も残すところ、あと5日。
恒例の「今年の漢字」は、「災」と発表されたように、2月の北陸の豪雪、6月の大阪北部
地震、7月の西日本豪雨、9月の北海道胆振地震と台風21号の上陸など、災害が多発した
1年でした。
これに加えて観測史上最高のとか、30年に一回のとかが付いた、厳寒や猛暑日に見舞われ
ました。
2004年にも「災」の一文字漢字がつきましたが、この年は新潟中越地震と10個の台風
が上陸したから。でもこの14年前の災より、今年ははるかに災害が多かったと思います。

私がかねがねこの週末エッセイで「世の中、末世的になってきた」と書いてきましたが、そ
うした社会現象に随伴して自然災害も多発するような気がしています。
今年の年賀状に、佐久総合病院の元院長・清水氏が「2018年を迎え、17年よりこの国
もさらに悪くなったと実感しています。唯一の救いは沖縄県民の戦いです。
本土の群衆・メデイアは一歩も街頭へ出ようとしません。この国が歩む戦争への道を止める
ことは、もはや手遅れなのでしょう」「今年がどの様な年になるか、予想も予測もよくは出
来ませんが、希望がないことは確かのような気がします」と書かれていました。
政治の世界や官僚の世界や経済の世界では、虚偽や隠蔽や法令順守の管理体制の劣化がまか
り通り、これをいさめたり糾弾すべきマスコミは権力の御用機関に成り下がって見て見ぬふ
り。一般国民は強いものには追従し、弱いものには冷淡で、みな自己本位・無関心・無気力
・無作為の日々に埋没しているふう。
まさに、清水氏の今年の年賀状通りの1年だったような気がします。
私は以前から、現在の国の劣化は「戦争をするか、経済大恐慌に陥るか、首都圏や東南海で
の大震災が勃発するか」して国家がクラッシュ状態にならないと、最早変わらないだろう、
と述べてきました。
第二次世界大戦は、「政治家も軍部も一般国民の間でも、まさか我が国が戦争をすることに
はならないだろうとタカをくくっていたが、あれよあれよという間に戦争に突入してしまっ
た」と、戦後、多くの政府要人や識者が証言していましたが、まさに今は、同様な状況にあ
ると感じます。

深刻な(?)話になったかもしれませんが、この程度の感想はつい最近まで、誰もかれもが
談論していたと思うのです。現在は若者から高齢者まで「私には関係ないし、関心もない」
という風潮が主流になって、自己の考えを表現することが極端に少なくなってしまいました。
本心を出さず、周囲の空気を読んで忖度しないと生きずらくなる、損するとでも思っている
のでしょう(そのぶん、ツイッターなどで匿名でのヘイトスピーチなどが氾濫していますが)。
来年は人災も天災もない、おだやかで少しは希望が湧いてくる年になるよう、心から祈るば
かりです。

昨夜、布団についてから何気なく自問自答してみました。
「俺は何のために生まれてきたのか?」「・・・人に逢うため」
「何のために生きているのか?」「・・・人と巡り逢うため。そして友垣(ともがき)をつ
くり、楽しむため」
たったこれだけのこと。
これ以上の意味は思いつきませんでした。
名誉も社会的地位も多くの金や物も、そんなことはどうでもよいこと。
71年間生きてきての、これが正直な結論。
これからの人生も同様でしょう。

この1年間、直接・間接のご厚誼を賜り、ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
「あなたに逢えて、良かった」

それでは良い週末を、良い新年を!