混 沌 の 時 代 に
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国際的には、両国のエゴが顕在化した米朝首脳会議、中国の世界制覇への蠢動、ロシアの軍 事力を背景とした大国化路線、韓国の国際的な「反日キャンペーン」、トランプ大統領を始 めとした種々の国における独裁主導者の誕生、それを生む個人至上主義・利己主義・排他主 義に染まっている世界の国の国民。 きな臭い世界情勢になってきました。 国内においては、刻々と迫る「未曽有の超高齢社会」「地方の衰退」「大震災の発生」「経 済の低下」「国家財政の破綻」。 だが国会では、かっての「森友・加計学園問題」さえ不透明なまま、今は明けても暮れても 「厚生労働省の統計不正問題」ばかり。日本の喫緊の課題は山積しているというのに。 与党・閣僚はニタニタしながら不誠実な回答を繰り返し、勉強不足で、あわよくば自民党に 鞍替えしたいような連中が多い野党の質問は、屁のツッパリにもなりそうにない追及ばかり。 テレビも連日、料理、グルメ、健康、旅の関連バラエテイ番組ばかり垂れ流し、深刻な社会 問題や政治評論より、一億総白痴化を図るような番組ばかり。 国民は歩いていても電車の中でも飲食店の中でもスマホにかじりつき、他愛のないメールの やりとりや、コミックやゲームに没頭してばかり。 ニュースでは、これまた連日のように殺人事件や詐欺・暴行・セクハラ・児童虐待・企業の コンプライアンス違反等の、異常で気の滅入ることばかり。 その間に「明日の天気はどうだこうだ、朝夕の気温差への体調管理、花粉症、熱中症予防情 報がどうだこうだ」と、大袈裟に騒ぎ立ててばかり・・・・。 週刊誌などでは、毎号、「定年退職後の生き方」「年金を少しでも増やす方法・節税のポイ ント」「もめない遺産相続」「今から準備する死後の手続き」など、ジジババだけではなく 若い者にも「今から備えを」といった余計な(?)啓発記事ばかり。 一言でいえば、前から何度も述べていますが、「日本社会は、ここまで衰退劣化してきたの か」ということを、痛感する今日この頃。 せいぜい気が少しは晴れるのが、スキージャンプやテニスや卓球やバトミントンなどのスポ ーツ選手の世界的な活躍。 しかしこれらの競技は、だいたい個人競技で、サッカーや野球やラグビーやバレーボール・ バスケットなどの団体競技ではないので、国中が沸き立つような歓喜には、少々遠い感じ。 なぜなら、「JAPAN」として、国の代表チームとして、他国に勝利する種目ではないからで しょう。 どのスポーツでも、根源的に重要なのは個人の技量ですが、やはりチームプレーで日本が勝 利することの喜びは、また格別に感じるのですが。 昔から言われていることですが、日本人の身体に流れているのは、農耕民族的な「協力・助 け合い』の精神。 それが今や、そうした言葉は、死語。 それぞれが皆、「自分さえよければ、あとは知ったもんじゃない」と、自分勝手な社会にな り果てた感じ。 そんなことを考えている時、先の週刊誌の記事ではありませんが、たまたま読んだ今週のあ る週刊誌の記事に、膝を叩くほど同感、納得した文章がありました。 その記事の一部を紹介します。 「かって日本のサラリーマンの美徳の一つに、勤勉さが挙げられた。 深夜残業をいとわず、家庭を二の次にして休日出勤をし、取引先との付き合いで午前様もざ ら。 もちろん世界から『ワーカホリック』と馬鹿にされたが、一方で、戦後の焼け野原から高度 経済成長を経て、先進国の仲間入りを果たした日本の原動力になったことは、間違いないだ ろう。 ところが、世論調査や人材コンサルテイング業を手掛ける米ギャラップ社によれば、平成の 今、日本では『やる気のない社員』が70%、『周囲に不満をまき散らしている無気力な社 員』が24%、『熱意溢れる社員』は、わずか6%しかいないという。 日本人はいつの間にか、世界に冠たる『怠け者』国家になっていたのだ。 ちなみに、米国における『熱意溢れる社員』は32%で、日本は調査した139か国のうち、 132位と最下位クラスだった。日本よりも低い国はブータンやイタリア、パキスタンくら いしか見当たらない」 「日本には残念ながら、個人として能力が突出して高い人はあまり多くありません。 しかし、それをチームワークで補うことで、経済を発展させてきました。 ところが、平成に入り、社内の人間関係が崩壊してしまった。背景にあるのが、90年代か ら多くの企業で導入された成果主義です。 成果を上げれば評価されるのですが、当然のことながら、毎年、成果を上げ続けるのは難し い。 すると社員が考えることは、他人の悪評を吹聴して足を引っ張り、その評価を下げること。 これでは社内の雰囲気が悪くなるのも当然です」 「会社や上司はいつも『何かあれば積極的に提案してくれ』と口では言いますが、本当に斬 新な企画や業務の改善点を指摘すると、上司や会社に対する批判と受け止められかねないの で、結局は何も言えないのです。 サラリーマンでは給料も変わらないので、リスクを恐れて会社に物申しません。 役員ですら社長のイエスマンになりがちで、物を言えないのですから社員もやる気をなくし、 与えられた仕事を捌くだけになって、自分の時間を大事にするようになるのです」 「実に94%もの社員が仕事に熱意を感じていない状況なのに、社員が『働かない』ことに お墨付きを与える愚策が、政府主導で推し進められている。それが、昨今の『働き方改革』 だ。 本来、仕事は楽しいもの、遣り甲斐のあるもののはず。ところが、現在進められている『働 き方改革』では、仕事はむしろ苦痛であるという流れになっています。 度を越した長時間労働はもってのほかだし、それを法律で規制することは重要ですが、まず は仕事が楽しくなることを目指す。その発想の転換が必要ではないでしょうか。本来は、企 業の生産性を上げるのが目的だったはずですが、現状を見ると、従業員の労働時間を短くす ることだけが目的になっているのが、気になります」 「周囲に不満をまきちらす『怠け者』ばかりが社会に増え続けていけば、行きつくところは 日本沈没しかない。 (略)企業が忘れかけている、人と人との結びつきや助け合いを、日本人は今もどこかで渇 望しているのではないでしょうか」 以上です。 これからの日本を、元気で明るい社会にするには難題が山積していますが、どんな立場の人 も「希望と連帯こそが、一番大切な理念」ということを、肝に銘じて貰いたいものです。 もう、救いようのないほど、高度成長時代の高速道路や建造物や橋やトンネルなどの老朽化 や、一番大切な人間の老化が進んでいますが、せめて次代を担う人々の劣化だけは、国を挙 げて防がなくてはならない最重要課題。 口先だけで、自己保身に汲々となっている60代以上の政治家や官僚や大企業のトップなど は、潔く第一線から身を引くこと。 そして早急に、有能な若手指導者の育成を図ること。 それが、将来の日本国のための最後の手段ではないかと、私は思っているのですが。 それでは良い週末を。 |