東井朝仁 随想録
「良い週末を」

7月12日(金)の夕方に思う
異常なほど長く続く梅雨。
今日は、霧雨。
空はどんよりとし、21度ほどの気温にしては蒸し暑い。
その小糠雨に濡れながら、先ほど(午後4時5分)帰宅。
ごろんと横になり、文庫本「ルーズベルト・ゲーム」(池井戸潤・作)でも読もうと思った
が、先週は「良い週末を」のエッセイをパスし、今週もすでに時は週末金曜日の夕方である
ことに気付き、今は反射的に机の前に座り、パソコンに向かっている。
寄る年波もあると思うが、今年に入ってから心身共に疲れることが多く、「何かを表現する」
という意欲も減退してきた昨今。
「これではいけない」という意識と、長年の習慣が働いて、パソコンの前に身を置いたので
しょう。

今年も上半期が終り、早や下半期に。
前述したように、何か特別なことがあった訳ではないのですが、何となく「疲れた」この半
年でした。
そこで大雑把にこの半年を振り返ってみると。

1月11日・・・社団法人東井悠友林の顧問・高久史麿氏の米寿を祝う新年会を開催。とて
もなごやかで楽しいひと時。
しかし、その5日後。
1月16日・・・高校時代の恩師(享年88歳)のご葬儀に参列。この日の4か月前に恩師
の米寿を祝うクラス会を奈良市で開いたばかり。私は葬儀に参列している最中から、その日
の夜に帰京して自宅の床に就くまでの間、胸騒ぎの様な頻拍が出ていました。翌日、近くの
循環器クリニックで精密検査をし、24時間心電計などの検査結果で、一過性の不整脈と。
その後、こうした頻脈・徐脈が時々現出。そこで紹介状を持って東京医療センターで再度精
密検査を。
所見は「異常なし」。
やはり推察通り、恩師の出直しが精神の安定に支障をきたしていたのです。
その後は、つとめて「脳過労」を回避し、時々深呼吸を。すると不整脈は殆ど出なくなるの
です。

2月・・・突然、我が家の裏側(北側)の110坪ほどの長方形の空き地に、地下1階地上
4階のマンション新築計画の公示版が立てられ、不動産会社の担当が、周囲の家々に計画案
を配布。
よく聞くと、深度15メートルほど掘削し、建物は四方の境界線ギリギリまでくる計画案。
その工事を3月から開始するとのこと。
これは大変なこと。工事による振動で、我が家や隣2軒に通じる、高さ1.5mの大谷石の擁
壁が欠損・崩壊したら、こちら側の地盤の崩れ、家屋の損壊が免れない。
また、午前8時から午後6時までの大工事を、約1年かけて行うとのこと。
色々考えると、眠れぬ夜もあり、その時は不整脈が顔を出す始末。
そこで隣近所の有志の方と協議し、建築側の担当者を呼び、近隣の家々の安全と安心を担保
できる計画案の再提出を促す。
後日、先方は「計画の見直し、3月からの工事着工の延期」を伝えてきた。

3月・4月・・・私はさらに長男にも手伝ってもらい、区役所の建築課、東京土建組合世田
谷支部、区の不動産相談窓口の非常勤弁護士、私の旧知の弁護士などとも相談。先方の不動
産会社に何度も電話やメールや配達証明の郵便で、「安全で周囲の環境にも配慮した計画案」
の提出を要求。
さらに、万が一を考え、隣とその隣の家の方とに働きかけ、「大谷石の擁壁」の補強工事を
行うこととし、区の相談センター関係の紹介による一級建築士に相談。そして情報を収集し、
適切と判断される4業者を選定。彼らに現場調査をしてもらい、無料見積をしてもらう。
ある日、不動産会社の担当が来訪。
「地下は取りやめる。建築面積を縮小させる。工事開始は7月からとする」旨の修正計画案
を提示。
そんな中、4月上旬に、台北に赴任している次男坊一家が1週間ほど帰省。
6歳男児と3歳女児らと食事をしたり出かけたりの、憩いのひと時もあったが、これも意外
と疲れた。

5月・・・隣家2軒と「擁壁補強工事」の業者選定などを協議。こうして隣近所の人と色々
な話を長くするのは、私がここに引っ越してきて30年たつが、初めての事。
6月・・・9日(日)の夜、風呂に入ろうとした配偶者が何か叫ぶ。駆けつけると、2か所
ある水道栓の一つから漏水。栓を締めなおそうとしたら、根元からすっぽりと栓が外れ、鉄
砲水に。慌てて外の元栓を締め、「水道管工事110番」の水道業者に電話。すぐに来てく
れて調査した結果、給水管の老朽化が疑われるので、この際、給水管と蛇口の全部取り換え
を行うことに。
そこで10日から12日までの突貫工事を行った。これが終了するまで、立ち会ったり、業
者に配慮したりして疲れた。
21日・・・かねてから要求していた「貴社の工事により、当方の擁壁を含む土地・家屋等
の不動産に損壊等の損害が生じた場合、貴社がその賠償責任を負うこと。このため、貴社の
責任により工事前と工事後に家屋調査を行うこと」を要旨とした「念書」を、双方でかわし
た。この念書案の策定に至るまでも、疲れた。

7月・・・3日から擁壁補強工事開始。私より3歳ほど若いが、その道のベテラン親方が主
導しての工事。
私はその日焼けした細面の親方と妙に気が合い、工事の円滑な進捗を図るためにも、飲み物
や昼の弁当を差し入れ、その日の工事終了後に、世間話をして別れたり、いい感じだった。
お蔭で雨にもたたられず、9日に完了。
その間、6日に一級建築士による家屋調査の実施。屋内の全ての部屋や廊下や浴室・トイレ
などの現状計測と写真撮影。2時間弱だったが、調査前の各部屋の清掃・整頓などを含め、
疲れた。
あまり良いコンデションではないまま、9日には特定健診を受診。
10日から裏地のマンション建築工事が始まった。
これにあわせ、先方が公表していた作業時間の開始と終了時刻を、それぞれ30分遅く開始
し、早く終了することを要求し、了解を得た。
さて、これから来年の春までの工事。
安全、安心、円滑な工事を願うばかり。

振り返るとこの半年で、何人かの友人・知人の病気の話が入ってきました。
A氏の場合は、全身がんが見つかり、国立がんセンターに再検査と治療方法確定のために入
院。
築地に見舞いに行き、最上階のレストランで昼食をしながら2時間ほど歓談してきたが、ご
本人はお元気で、さらに驚いたことは「わが身の病気を、客観視している、もう一人の自分
が頭の上にいる感じなんですよ」と、にこやかにおっしゃっていたこと。
私はその晩から、毎晩寝る前に彼の回復をに祈っているのです。神の良き計らいを。

そんなこんなで過ぎた上半期。
これからの下半期は、健やかで平和な毎日にしたいと願っている、7月12日の夕方なので
す。

それでは良い週末を。