暗 愁 を 超 え て
|
今日は10月31日。 「やはり・・・」と、思った。 予測が当たった。 今朝、沖縄の世界遺産である首里城が全焼した。 世の中がすさんで(荒廃して)いる。また何か重大事が起こらなければいいが・・」 最近、そう思っていた矢先だった。 さらに、全焼のニュースをテレビで観た瞬間の、もう一つの推察が当たった。 「出火原因は未だ不明らしいが、誰かのせいにするデマも出てくるのでは」と。 今現在(午後9時)、SNSでは「韓国人のせいだ」「放火だ」という声が飛び交っている とのこと。 大型台風や豪雨の大災害が頻発した10月。 そして、河川の氾濫情報の住民への遅れや遺漏、国や県の対策本部設置の遅れなど、政治や 行政の対応の鈍さが露呈した10月だった。 内閣を改造したばかりの安倍内閣で、経済産業大臣と法務大臣の二人が不祥事で辞任。 防衛大臣と文部科学大臣が不適切な発言で謝罪。 しかし「私に任命責任がある」と1週間に2回謝罪した首相は、具体的な自己の責任の取り 方は述べず。 原子力発電所の誘致・建設にかかる、関西電力と設置自治体と建設業者の癒着。 所詮、カネ。 大企業のコンプライアンス違反。これも所詮自分たちの利益第一。 政治も経済界も(事例を上げれば、スポーツ団体、教育委員会、芸能界等々きりがない)全 く緊張感に欠け、無責任状態に。「役所任せ、現場任せ」で、災害対策の先頭に立って旗を 振るなどはしない。 自分の責任が露呈したら「ご迷惑をかけ、深くお詫びを申し上げます」と言って頭を下げ、 それで終わり。「どうせ、国民はすぐに忘れる。野党の追及もワンパターン」そんな感覚が まかり通る現状。 国や地方のお偉方(何が偉いかわからないが。誰一人「偉い方だ」と思える人は、総理を含 めて皆無)は、みな、無責任。 こうした政治や経済界など、社会のリーダー足る人たちが「自分本位」「身勝手」にしか国 民の目には映らないから、世の中のタガが緩んでくる。社会道徳も、ルールも、秩序も、あ ったものではない。 日本中に「今さえ良ければ」「自分さえ良ければ」の利己主義・自己保身が蔓延。 都知事からして、トランプ米大統領の真似して「都民ファースト」。トランプも誰も、要す るに「自分の所さえ良ければ、他は知っちゃいない。自分たちでやれ」が、ファースト(第 一)。共同・協調・共助の心がない。 そうした社会だから、国民は無気力・無関心・無作為の3無主義に。 そして卑劣な放火事件、婦女子や子供や身障者、高齢者を狙った、あくどい詐欺や暴行事件 が多発。 社会が劣化し、人心も荒廃してきている。 天も怒る。 国民はみな、疲弊しきっていると思う。 相次ぐ災害。これから先も、親分のアメリカに倣って地球温暖化対策に消極的な日本は、真 っ先に異常気象に見舞われ続けるはず。断言する。 本当に、日本には以前の様な希望がなくなった。 この国の将来のあるべき姿と、その実現のための計画を明確に示し、選挙で国民の大多数の 賛同を得て大胆に内外の施策を実行していくこと。 そうしたことをまず明確にし、国民に希望と安心を与えること。 これが政党・議員たちの喫緊の使命だ。 それが与野党ともにない。 あるのは「今の目先のこと」だけ。 「憲法第9条」の改正の有無と、議員の不祥事の議論ばかり。 国民はみな、「生活の安全・安心の確保」が第一の要求。 本当に政治は劣化した。財界も教育界もマスコミも、劣化した。 勿論、日本列島のインフラも耐用年数を過ぎて劣化した。 そして、高額の報酬と特権を得るために、口八丁で議員に就職しただけの、志が全く見えな いそうした議員を選んだのは国民。根本的には日本の国民が劣化したのだ。少なくとも、 55年前の東京オリンピックの頃よりかは・・・。 10月31日の今夕、渋谷のスクランブル交差点を歩いた。 信号が変わるたびに、凄まじい群衆が往来する。 色々な人種の外国人も多い。幽霊や殺人鬼のような気持ち悪い化粧とコスチュームの若者も 多い。 しかし、明日オープン予定の、渋谷で一番の高層ビル「スクランブル・スクエア」の無機質 な姿と同様、なぜか寒々しい光景だった。祭りではなく、廃墟を彷徨う幽霊の群れのようだ。 こんなことが大々的にニュースになるほどに、若い者たちの騒げることがないのだろうか。 これから、我が国は暗愁がますます色濃く漂っていくのだろう。 将来が見通せない。希望がない。ヴィジョンがない。「坂の上の雲」がない。 このままだと、社会はますますささくれ立っていく。ずるい自分勝手の国民が増え、犯罪が 増え、若い者の引きこもりが増え、要介護の老人が増え、国の赤字が増え、国は衰退してい く。 だが、私はそうしたくはない。 あとどれくらい生きられるのかは、わからない。 もうそうしたことを、リアルに考える年齢になった。 でも、自分の心に悔いは残したくはない。 この急下降して滑り落ち始めた日本に、ストップをかけるのは今。今しかない。 これも強く確信する。 では、そのための理念は? これは今回の「ラグビーW杯」で何度も熱く語られた言葉だ。 国民が、「one for all、all for one(一人はみんなのために、みんなは一人のために)」 を合言葉に、「心を一つに(one team)」すること。 目指すは、人種・国籍・立場などを超えて、皆が「共助・思いやり」の精神を共有する社会 を構築すること! これこそが日本のあるべきプリンシプルだ。 これが少しでも進まなかったら、日本はもう破滅しかないだろう。 暗愁を乗り超えて行こう! そう思った令和元年の10月最後の日でした。 それでは良い週末を。 |