東井朝仁 随想録
「良い週末を」

余 寒
いま(12時半)、用賀から田園都市線で戻ってきました。
車中は50数名の着席者と20名ほどの立席者。
私はドアのそばに立ちながら車内を眺めていたのですが、乗客全員がマスク姿。そして、
2、3名の者が目をつぶっている以外、全員がスマホを見ていました。見ていないのは私
だけ。驚きました。
車中はしんとして、誰も話をしていません。
前々からですが、私には異様な風景に映ります。しかし、殆どの人は「これが普通」とば
かり、違和感などは全く感じていないのが実情でしょう。

「国民は画一的になってきた。無気力・無関心・無作為の3無主義になり、さらに、各個
人が連帯とか協同とか仲間とかの意識を持たず、バラバラに孤立してきた。
国政選挙で有権者の過半数が棄権するように、民主主義も衰退し、機能しなくなってきた。
そしてこうした「無力」の国民の状況をいいことに、為政者は「スピード感を持って、決
められる政治を!」とばかりに、独断専横の限りを尽くし始めている」
私は、車中でそう考えていました。

安倍首相は昨日、「新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために」の目的で、3月から全
国の小中高校を休校にするよう、各方面に要請した。
趣旨は分かるが、これが相当に適切な手段なのかどうか、社会の機能や各家庭への影響を
どう捉え、政府としてどう対処する予定なのかが、今の時点では全く分からない。
首相は「責任を持って対応する。法整備を進める」と述べているが、いつもの事ながら具
体策がわからない。
たった2日前に「政府の基本方針」では「学校等の臨時休校・休業等の適切な実施に関し
て都道府県等から設置者等に要請する」と発表したばかりなので、余りにも唐突だと私は
感じたのだが、国民はどう思ったのだろうか。大方はスマホを見て「不満だが仕方ない」
で終わりだろうが・・。
識者の中には「厚労省もどこも、何も出来ないし決められないので、総理の判断は英断だ。
やはり決断ができる人だ」と称賛する向きもあるが、私は、こうしたことがまかり通るほ
どに、各閣僚、連立与党、関係省庁の幹部が劣化し、物も言えず言わない状態にあるよう
な気がしてならない。
まさに、民主主義は機能せず、独裁政治待望の状況になってきたと感じるのです。
新型コロナウイルス対策は、我が国の喫緊の課題であることは誰でも承知。
果たして、今回の「首相の一言」は関係閣僚及び関係省庁並びに感染症対策専門家の緊急
合意に基づくものなのかどうか。
こうした事柄も複眼的に捉えて考え、声なき声を上げていかないと、日本の民主主義は終
焉すると予測しているのです。

まだまだ余寒の季節。
〇〇な予感もする2月の終わりです。

それでは良い週末を。