東井朝仁 随想録
「良い週末を」

新たな希望と勇気を抱いて
今日は2020年3月31日。
現在の時刻は午後5時半。
明日からは学校も会社も社会も「新年度」に。
別れと出会いの節目の時。

いま、幸せと喜びに包まれている人もいるでしょう。
微かな不安と緊張に身構えている人もいるでしょう。
しかし、それ以上に多いのは、悲しみや苦しみや不安や絶望や嘆きや孤独に包まれている
人、のような気がします。
令和の時代は始まったばかりなのに、新型コロナウイルスの脅威や東京オリンピックの延
期や、それにもまして今後の経済不況への不安。
世界の荒廃が予測されます。
それでも私たちは生きていくのです。
喜びの日もあれば、悲しみに暮れる日もあるでしょう。
お金をたくさん持ちながら、夕食のおかゆ1杯が喉を通らない人もいます。
権力と金を築いても、心を許す友人が誰もいない日々を過ごす人もいます。
何が幸福で何が不幸なのかは、誰も判断できません。
今日の安穏が明日も続く保証は無く、今日の悲しみが永遠に続くのが鉄則でもありません。
92で亡くなった母が呟いていた言葉。
「トモヒト。楽あれば苦ありだし、苦あれば楽があるよ」と。
「明けない夜はない」ということでしょうか。

私は現在の不安に満ちた時代において、一番大事なことは「思いやり」だと思います。
どんな事象においても、どんな環境に置かれても、人間として絶対に欠かしてはいけない
ことは「人への思いやり」ではないだろうか、と。
偉そうなことを言うようですが、正直、72年間生きてきた私の現時点での絶対的真理な
のです。

挫折感にひざまずいている人は、まず立ち上がりましょう。
足元のおぼつかない人は、慌てずに一歩一歩を踏み出していきましょう。
歩くのに疲れてきた人は、立ち止まって空を見上げましょう。
目標に向かって力強く歩いている人は、そのパワーの1%でも周囲の困っている人に手を
差し伸べてあげましょう。
そして誰もが、すぐには出来なくても、「思いやりを形にすること」を社会人としての最
も重要な「令」として生きていきましょう。
それでなくして、なんで生まれてきたと言えるのか。何で人間と言えるのか。
自分本位、我利我欲、利己主義に生きる人は、たとえ総理大臣でも著名人でも大企業の社
長でも、私は全くリスペクト出来ません。

明日から命が絶える日まで、希望と勇気を抱きながら「連帯を求めて」「助け合って」進
んでいきたい。
出来得るなら、いま涙ぐんでいる人の手を、そっと握ってあげたい。
私は2019年度の最後の日に、人生最後の命題として、そう自分に課しているのです。
「たった一度の人生」
いつ亡くなってもおかしくは無い年齢になってきました。
悔いは残したくありません。

それでは良い週末を、良い新年度を!