東井朝仁 随想録
「良い週末を」

回 天 の 季 節
今週は週末エッセイをパスしようと、今の今まで決めていましたが、テレビやラジオを付
けていると、7日に政府が出した「緊急事態宣言」による国などの対応に関するニュース
ばかり続くので、どうしても一言とパソコンに向かった次第。

外出自粛要請とか休業要請の対象業種の是非などの細かい評価は、マスコミによる識者等
に委ね、私が以前から「日本の社会を変えるのは、政治や行政の改革、国会の議論や、国
民の選挙権行使などの自発的・内発的な行動では、もはや無理だろう。地震などの自然大
災害や経済大不況やテロ・内乱・戦争など、日本社会が根底から揺るぎかねない事態が勃
発しない限り、変わらないのでは」と述べていたが。
まさか、新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)が発生するとは・・・・。
今後、このパンデミックが、日本の現状にショックを与え、様々な分野での価値観や方法
や制度の見直しを余儀なくされるだろう。

この論議も他に譲るとして、私は「とにかく、既存の法律も行政通知も閣僚の説明も答弁
もわかりずらい。
正確さとわかりやすさと迅速さが、全くない。そうした既存の体制の上に胡坐をかいてき
た政治家や官僚や経済界などの重鎮は、みな改革の意識は乏しく、自己本位の守旧体質。
これが今の日本の国の実態ではなかろうか。
だから、今回の経済対策も1世帯当たり30万円の現金給付をするらしいが、給付対象は
住民税非課税世帯でありかつAまたはBの収入減少がある世帯云々となっている。識者に
よると、給付対象世帯は全世帯の2割が該当とのこと。
だが、この給付を受けるには自己申告で、様々な付帯証明書が必要との条件がつく。
不正をチエックするためには必要だろうが、これでスムーズに事が運ぶのか、行政が迅速
に適正審査と決定ができるのかが、非常に疑問。

先ほど、散歩がてら近くのスーパーに行き、キムチと岩ノリの佃煮とバナナとイチゴを籠
に入れ、レジに。
店員が「1番で」と自動精算の機械を指示し、そこで精算を済ませた時、「あれ、籠にビ
ニール袋がない」と気付き、その旨店員に言うと「小ですか、大ですか?それぞれ2円と
3円ですが」とにべもない返事。
私は「そうか。4月からビニール袋が有料になったのだ。それにしても大か小かと言われ
ても」と思いながら小の袋を頼み2円を手渡したら、「機械で精算してください」と返さ
れた。
些細な出来事だったが、こと程左様に、面倒な社会になってしまったと痛感した。
地球環境の保護の上から、ビニール袋の使用を抑制する政策はわかるが、2円だとか3円
だとか、なぜこんなにややこしい細分化した料金体系なのか。
こうしたことは一事が万事の現状。

現在のコロナ禍が、日本社会の「回天〈時勢を一変すること〉の季節」を作り出したよう
な気がしてなりません。
回天には「衰えた勢いを盛り返すこと」という意味もあります。
私個人の人生で言えば、まさに初めて遭遇した「回天」の時が、今のような気がしている
この頃なのです。

それでは、良い週末を。