東井朝仁 随想録
「良い週末を」

新国立競技場で、東京オリンピックマーチを
現在、新型コロナウイルス感染症の拡大により、我が国は非常に厳しい状況にある。
多くの国民(都民)が「3密」を守って外出を控え、自宅などに籠って日々を過ごしてい
る。私も、好きな本を読んだりパソコンやテレビを見たりして過ごしている。
しかし、テレビだけは数日で見るのをやめた。朝から晩まで、コロナ関連のニュースやワ
イドショーばかり。外出自粛要請が出てから連日だ。
「正しく恐れて、しっかり予防を図る」ことは重要だが、物事を煽情的に報道する番組が
少なくない。うんざりして気分も憂鬱になる。
かといって他の番組は、お笑い系タレントによる料理・食べ歩き・健康番組ばかり。「笑
い」は免疫力を高め、心身の健康に良いだろうが、それにも限度がある。
だからコロナ禍の一日も早い終息と自粛の解除が待たれるが、まだまだ先行きは不透明。
国民の多くは出口の見えてこない閉塞感と不安感を抱きながら、それでも粛々と自粛を続
けているが、この先はどうだろうか。いまは自粛期間の半ば。
ここで必要と思うのは、心に何らかの「希望」を持つことではなかろうか。
コロナ対策の推進には、国民の心が前向きになることが、医療体制の拡充や経済対策と共
に、どうしても不可欠だと考える。

先日、パソコンを観ていて、久し振りに心が勇み、胸が熱くなることがあった。
それは1964年に開催された東京五輪の開会式場・国立競技場の動画。
「東京オリンピックマーチ」が流れる中、澄み渡る青空の下を堂々と入場する各国選手団
の映像。
この勇壮で爽やかなオリンピックマーチは、時空を超えた今でも、多くの国民の心を揺さ
ぶる一大音楽になると、強く感じた。
当時を知らない現在の若者が聴いても、必ずや感動するはずだ。
私は「いまの日本社会を勇気づけられるのは、これだ!」と直感した。
そして、この様な思いが溢れた。
それは。

新築されても、今年の東京オリンピックが延期されてしまい、今だ国民に正式なお披露目
もされていない新国立競技場で、どこかの音楽隊の生演奏により、56年前のこの「東京
オリンピックマーチ」を高らかに演奏してもらうのだ。
勿論、無観客。
その映像を、NHKが自粛解除までの期間、毎日数回5分ほど放映する。
週ごとに、アスリートなどのメッセージをテロップで流したり、当時の映像を背景にした
り、演奏する音楽隊を変えたりして。
それはまだ殆どの国民が見たこともない、新国立競技場のお披露目でもあり、来年のオリ
ンピックに向けての心機一転のマーチでもあり、国民の心に勇気を与え、ひいては免疫力
のアップにもつながる応援曲でもある、と確信しているのだが。

以前にもオリンピックマーチに触れたエッセイを書きましたが、今一度、お手すきの方は
パソコンやスマホで視聴されることをお勧めします。

それでは良い週末を。