東井朝仁 随想録
「良い週末を」

スポーツの日?
カレンダーを見ると、今週の23日と24日が赤字。
最近は日曜祝日であろうがなかろうが、学生やサラリーマンではないので、全く曜日に関
心は無し。
それにしても「はて、何の日か?」と今一度顔を近づけると、海の日と「スポーツの日」
とあります。
「ん?スポーツの日?これは初めてだ。10月の体育の日とどう違うのか?」と一瞬考え、
「そうか。24日は東京オリンピックの開会式の予定だった。オリンピックが始まるから、
23日の海の日と、その後の土・日を加えて4連休にし、国民がオリンピックに集中する
ようにする政策の一つだな」と理解。
少し調べると、この措置は「オリンピック特措法」で定められた、今年限りの祝日とのこ
と。
体育の日は「国民の祝日に関する法律」で1966年、前回の東京オリンピック(196
4年)の開会式の日だった10月10日、と定めれていました。
それが2000年(平成12年)?に法改正があり、10月の第二月曜日に変更。
いわゆる「ハッピーマンデー制度」とかで、国民が旅行等の機会を持てるように連休化し
ただけの話。1年間の特定な日という歴史的・社会的な意味などはなく、便宜的で、休日
であればいいだけの話の様です。
ようするに経済活性化が優先。

それが今回は体育の日を包含し、名称も「スポーツの日」としました。
今年から体育の日は無し。
「スポーツ」のほうが「体育」より幅広い概念と考え、英語だから国際的にも聞こえが良
いので、初のカタカナの祝日名にしたようです。
本来、国民の祝日は「国民がこぞって祝い、感謝し、記念する日」その日付や祝日の趣旨
には歴史的・文化的な意義があるはず。
だが、近年の海の日、山の日のように、どうも国民受け(休日歓迎)と祝日空白月の解消
から、その時の為政者の人気取り、場当たり的な発想で生まれたとしか考えられない祝日
も、出てきました。
そのうち、昭和の日と同様、令和の日が制定されるのでしょうか。

私は祝日を増やそうがどうしようかには、関心がありません。
しかし、国民の祝日を制定する限り、国民の一人一人がその祝日の持つ意味ぐらい知って
いて、「国民がこぞって喜び祝う」ものでなくては、社会に何の意義も生じないでしょう。
「今日は何の日だよ?」「知らねえ。まあ、休みだからいいけどよ」程度。
休日が欲しかったら、働き方改革やらで「週休3日制」にすればいいこと。
終戦後の首相・吉田茂の懐刀として、GHQに1人立ち向かった「日本で一番、カッコイ
イ男」といわれた白洲次郎。
その彼が常に慨嘆していた言葉が「日本人にはプリンシプルがない」

体育の日からスポーツの日に名称を変えたとしても、その祝日の意義、戦後の混乱から立
ち上がり、敗戦後の貧しく卑屈で劣等感が渦巻いていた日本人が「ワン・チーム」となり、
不撓不屈の努力を払って成功させた「1964年の東京オリンピック」の意義は、先輩た
ちのご苦労と共に、決して忘れてはならないこと。これを機に日本は世界に向かって胸を
張り、希望を抱いて国の発展・成長に邁進していったのです。
その起点が「1964年10月10日」。
澄み渡る青空の下で挙行された、堂々たる開会式でした。
今ある現代日本社会の礎石の一つである10月10日に思いを馳せ、国民、老若男女のみ
なが健全であることを願い、今生きていることを喜び、そして明日への希望を確かなもの
にしていくのが、体育の日の意義ではなかったのか。

今回の「体育の日を」解消し、スポーツの日を設定した関係者の行為には、驚き、呆れま
した。
ここまで関係者の商業主義、利益第一主義でご都合主義的な施策がなされるとは・・・・。
第一、 いくらオリンピックを盛り上げるための開会式の祝日と言えども、7月24日は
熱中症が心配される真夏。
明後日はたまたま梅雨でしょうが、それでも暑いはず。
このような熱中症の時季に「スポーツの日」を引っ張ってくることは、本当にふさわしい
ことでしょうか。たとえ今年限り(来年も?)としても。
スポーツの趣旨に相応しくありません。水泳やヨットなどがある?
それは海の日で十分でしょう。

7月24日を休日にしたかったら、特措法でも何でも良いから、1年限りの臨時措置を講
じればいいこと。スポーツの日などとつけないで。

数年前ごろから、日本社会は「何か」狂ってきています。
何度も言うようですが、すべからく「今さえ、自分たちさえ良ければいい」という場当た
り的な風潮・政治術が横行し、これに疑問を感じる国民も少なくなったと、私は痛感して
います。
それにしても、明後日の24日が「スポーツの日」とは・・・。
驚きました(その日が何の日か気が付かなかった自分にも、驚きましたが)何ともやるせ
ない梅雨空の毎日が続きます。

それでは心の中に、10月の爽やかな青空を描きながら、健やかな日々をお過ごしくださ
い。
それでは良い週末を。