東井朝仁 随想録
「良い週末を」

ファイト(3)
「コロナ自粛」の生活を余儀なくされている毎日。
その中で、私が時間を費やしているのが「読書(Story)・映画(Screen)・歌(Song)の
3S」という話を、前回にしました。
そして、もう一つの好きなS(酒)は頭痛の原因になるから節酒し、スポーツは自粛して
いると述べました。
今回はその続きです。

今までの人生において、この3Sの中で最も時間を費やしたSは、読書。
本来、Storyは「(短編)小説」だが、これをゆるやかに解釈して読書と。小説でもエッセイ
でも、専門書でも、週刊誌でも何でも、ジャンルや媒体を問わずに「読むことが好き」と
いうこと。
ただし、「読みたい。知りたい」という興味が湧くものに限定。
勿論、健康本も色々と読んでいる。

例えば、生活習慣病(がん・脳卒中・心臓病・糖尿病・高血圧)や、心の健康(自律神経
失調症・うつ病・不眠等)の予防及び治療に関する本。あるいは身体機能の維持向上を図
るための、ウオーキングやストレッチや筋力トレーニングのノウハウ本。健康と食事に関
する本。人生を悔いなく生きていくための示唆に富んだ教養本。
そして、これは私自身の実用のために読んだ、腰痛症(脊椎管狭窄症・椎間板ヘルニアな
ど)や変形性膝関節症の本。あるいは不整脈を自分で治す方法が書かれた本(3年前の軽
い不整脈は、深呼吸の励行で快癒)。
これらの健康本は、著書によって理論やノウハウは様々。
書店の棚には、やたら「今までの常識は、間違いだった!」とか「食べたいものを食べて、
〇キロやせる方法」などと、テレビのワイドショー並みにセンセーショナルな題名、キャ
ッチフレーズで人々の関心をあおる本が溢れている。
したがって、得たいテーマの本はザッと何冊か立ち読みし、直感的にピンとくる本を2冊
以上は買って、複眼的に読むのがベストだろう(実用ではなく興味本位なら、その一冊で
もOKだろうが)。
私は栄養(食事)でも、「糖質ゼロ。食パン1枚よりステーキ一枚」とか、あるいは「も
うこれは欠かせません。皆から若い!と驚かれています」などの利用者の声が載ったサプ
リメント推奨の本などは、読まない。
大学の整形外科教授が書いた200頁ほどの「腰痛予防」の本でも、言わんとすることは
「一日2時間おきに、立ち姿勢で腰の裏に両手を当て、前屈・後屈をやること」。端的に
言えばそれがキモ。あとは身体の構造や脊柱管狭窄や椎間板ヘルニアを起こす原因とか、
腰に与える不健康な生活習慣などが説明されている。こうした本が多い。確かに「腰痛の
予防、自分で出来る治療はズバリ、こうすること」と、モデルの写真入りで解説されてい
れば2頁ですむことだが、それではパンフレット1枚にしかならない。大学教授などが出
版社から1000円以上の本にして出すとしたら、やはり学術的・理論的な説明をしない
と書籍には出来ないのだろう。
まさに、問題は読み手の読み方。

私は過去4回、激しい腰痛を起こした経験がある。だが、その度に自己治療で治す健康本
を買って、適切な腰痛体操や生活習慣を励行して克服してきた。
まさに、良き手引き本となった。
(といっても、激痛・歩行困難から無痛・通常の歩行可能の完治まで、最低3〜5か月ほ
どかかる。ただし、そのうちの1回は、私が自宅玄関の廊下でギックリ腰を起こし、余り
の痛さに仰臥さえ出来ず、その場でくの字に横たわって呻いていたが、駆けつけていただ
いた私の敬愛する老師・羽根田武夫氏にカイロプラクティック(腰椎の徒手矯正法)を施
術して貰い、一晩寝た翌朝には、嘘のように痛みがなくなって職場に出勤したケースがあ
った)

腰痛・膝関節痛共に、どこの整形外科でもレントゲン、MRI検査をし、痛み止めの薬と
血行循環を良くする薬と湿布薬を出され、「2週間様子を見るように。それでも痛みが激
しかったら手術しかない」との所見になった。
4回目の激しい腰痛発症は、私が69歳だった2016年10月の時。
4年半前のこと。
真夜中、トイレに立とうとした瞬間に。
この時は何とか痛みを我慢しながらそろそろと近くの病院に行った。
そして整形外科医の病院長に診察してもらった結果も、前述の様な所見になった。以前と
違うのは加えて「変形性膝関節症」が加えられたこと。
そこでこれらを何とかしようと、古希を前にして衰えてきた気力を奮い立たせ、10歩歩
いては立ち止まりを繰り返して本屋へ行き、「脊椎管狭窄症を自分で治す」(マキノ出版)
と「自力で克服!脊椎管狭窄症」(宝島社)という図解入りの本(A4版)、そして「一
生痛まない強い腰をつくる」(金岡・整形外科医、高橋書店)を購入。
早速、そのノウハウを日常に取り入れ、コツコツと励行してきた。
結果、翌春には腰部と膝の痛みはほぼ解消し、円滑な歩行が十分可能になった。
その年の秋の再診では「腰と膝の痛みはなくなり、歩行も毎日5000以上歩けますが、
ゴルフして大丈夫ですか?」と院長にたずねたら「痛くなければ、いいですよ。痛かった
らプレイはすぐにやめてください」と、至極当たり前の回答だったが、何とも嬉しかった
ことが、つい先日のように感じられる。
以降、今日まで「朝夕の腰痛体操と、パンツの上へのホカロンの貼付、1万歩以上のウオ
ーキング」は、日常の習慣にしている。
腰痛体操といっても、大したことではない。
簡単な身体のストレッチを5分、腕立て伏せ20回、スクワットを40回、片足立ち1分、
計10分ほど。これを朝にやらないでスタートした日は、どうも調子が出ない様だ。
ただし、スクワットだけは、気が向いた時に駅のホームでもどこででも行っているので、
一日100回は数えるだろう。
また、駅やビル内ではエスカレーターに乗らず、どんな長い階段の上りでも歩いて上がる。
この方が気分が良い。

今回は読書の話の予定が、腰痛予防の話に偏ってしまったが、ついでに、前回述べた「脳
寿命を延ばす」(荒井平伊・著、文春文庫)に続けて読んだ本を紹介。
「頭痛は首から治しなさい」(脳神経外科医・青山尚樹、青春文庫)も示唆に富んでいた。
要旨は「緊張型頭痛などの頭痛の9割は首コリ(首の後ろの筋肉の緊張)から」というこ
と。
首の痛みが頸神経から三叉神経脊髄路核に伝わり、さらに大脳の知覚野で頭痛として認識
される(クモ膜下出血や腫瘍などの器質的な頭痛は別)ということ。
一言で言うと「首がこる原因は、@自律神経(交感神経)の緊張、A姿勢の悪さ、冷え、
目の疲れなど→これらが血流障害を起こし→首の筋肉の緊張を起こす」ということ。
したがって、根本は「血流障害を起こさない生活習慣をすること」
そのためには、「自律神経失調に陥らないようにすること(原因は、低血糖症・鉄欠乏、
ストレス、睡眠不足)。スマホやパソコンによる首の前傾姿勢に注意すること。首回わり
や身体全体の冷えを避け、温めること。長時間座位をやめること等」。
結局、頭痛の予防対策は、前回述べた著書の内容と同様。
適切な生活習慣の励行に尽きるようだ。腰痛も頭痛も。そしてガンや心臓病や脳卒中予防
も。

確かに、コロナ自粛が始まった去年の春ごろから、「首がこるな」「目が疲れるな」そし
て「頭が重いな」と感じていた。
そして首にサロンパスをはったり、目薬をさしたり、入浴して首まで浸かっていると気持
ちが良くなり、頭も軽くなっていたのは確かだった。
最近、巣ごもりで座位が多く、本やパソコンやDVDを見ることが多くなっていたうえ、
冬の寒さが加わり、血流が悪くなっていたから、首コリが顕著になっていたのだろう(振
り返ると腰痛発作も冬に多かった)。
また、今までの老眼鏡では細かい字が鮮明に見えない時があり、度数が合わなくなってき
たという感じはしていた。
そこで、先週は、長年利用している大手町の眼鏡店で、視力検査等を行い、度数のあった
新たな眼鏡に作り替えた。また、外出時にはタートルネックセーターやマフラーで首周り
を温めている。
こうしたことをさりげなく自粛生活で行っていけば、きっとそのうちに、晴れ晴れとした
良い季節が訪れることだろう。

今回は健康本のことを述べました。
読書は「知恵と感動という、生きるためのエネルギーを与えてくれる、人生において最も
重要なことの一つ」と、つくづく痛感します。
さてそれでは、「ファイト!」と心の中でエールを交換し、長くなってきた座位をやめま
す。
この続きは次回に。

それでは良い週末を。