東井朝仁 随想録
「良い週末を」

もしかしたら・・・

国内外ともに、第3次世界大戦も絵空事ではない、将来の予測がつかない情況になってき
た。
まさに「世界は、東西(米ソ対立)の冷戦終結後、最大の危機に直面」しているといって
も過言ではないだろう。

日本でも多くの国民が「ウクライナ侵攻中のプーチン独裁国家・ロシアと、専制国家・中
国の覇権拡大(軍事力や経済力を背景とした台湾などの近隣諸国への支配力の強化)」に、
強い不安感を抱いていると思う。
と言っても、国会中継を見る限り、喫緊の課題である外交・防衛問題より、ワクチン接種
の遅れがどうしたこうしたという、内向きの議論ばかりに終始しているようだが。全く平
和ボケの極みというか、野党にも与党にも「厄介で難しい防衛論議より、国民受けしやす
いコロナの質疑をしていれば無難」とばかり、真正面からの議論を双方ともに避けている
としか考えられないが。

こうした専制主義の拡大に危機感を抱く自由主義(民主主義)陣営の旗頭・米国のバイデ
ン大統領は、22日、ロシアの行為を「ウクライナへの侵攻の始まり」と断定し、第1弾
の経済制裁に踏み切った。
これに呼応して、日本も英国もEUも、同様の対ロ経済制裁を決定。
国際情勢は、これから徐々に緊迫の度合いを深めていくこと必至。
そして、ウクライナ情勢の成り行きを注視しながら、中国は日本の尖閣諸島と台湾の侵略
を、虎視眈々と狙っているだろう。
もしかしたら、米国・EU連合対ロシアの軍事戦争が勃発した機を捉え、行動に移す可能
性も、全くゼロではないだろう(北朝鮮も同時に事を起こす可能性あり)。

だが、いかんせんアメリカは、自国第一主義の猛犬・トランプ前大統領の共和党と、高齢
でパワー不足のバイデン大統領の民主党の、それぞれの支持層が対立し続け、国内は分断
状態。軍事力も経済力もかっての偉大なアメリカの面影は薄れている(アフガン撤退と同
様、ウクライナからの電撃的撤退もあり得るだろうが、その時、世界の警察としてのアメ
リカは消える)
一方日本は、岸田総理には「聞く力」はあったとしても、「決断力と実行力」が全く感じ
られず、官房長官にも各大臣にも「迫力」「説明力」が欠けている者ばかりのようだ。側
近・役人の書いたペーパーをそのままぼそぼそと読むだけなら、誰でもできること。そも
そもやる気のない表情の者ばかり。
自民党内では、もはや人材はいないのだろう。
平時ならそれでも国は動くが、今は「準非常時」なのだ。
新型コロナ対応が後手後手になっているという国民の批判があっても、先手は打たない。
いや、政府内の調整で時間ばかりかかり、決断できないのだろう。最終決断をするのは、
国の最高指導責任者の岸田総理なのだが。

対する野党も、立憲で「さすが」と期待されるような、政策と戦略とスピーチにたけた国
士は、全く出てこない。
例えば「日本の防衛政策」論争で、党として果敢に政権に挑むことがあるやなしや。国民
にはよくわからない。
維新・国民・希望などの野党は、自民党と連立を組みたくて仕方がない者も多いし、隠れ
自民党だろう。選挙区の関係で、野党から立候補した人が少なくないはずだ。

「憲法改正反対」「第9条の改悪反対」は昭和45年の日米安保条約延長の前から、社会
党・共産党から総選挙などことあるごとに叫ばれて、今日まで来た。
しかし、ワンフレーズのこれらに賛同している国民がまだまだ多いが、国民の間で議論が
深まり、納得を得るところまでは、いまだ至っていないと私は思う。
「憲法改正=平和憲法の放棄で悪」「第9条の改正=戦争を起こす悪」という、定型的・
情緒的な一言で片づけてきた感がある。
現行憲法は、戦争の放棄と国民の権利を保障する世界でも例を観ない「平和憲法」で、そ
の崇高な理念は憲法の前文に明記されているところだ。
しかし、その「理想」を「形」にして維持していくためには、様々な時代状況の中で、た
えなる憲法論争があってこそ可能になるはず。
少なくとも、国会における真剣な憲法論議を、与野党ともタブー視し続けていたら、日本
は衰退の一途を辿るだろう。

先日まで連日のように、北京・冬季オリンピックと、オミクロン株の感染状況のニュース
がマスコミから流されてきた。
それ以外、テレビでは「旅行・グルメ・お笑い」番組が、日夜流されていた。
その間にも、国際紛争や気候変動やインフレ不況などの不安材料は、刻々と深刻の度合い
を進めてきた。
でも、我が国では何が生まれたのだろうか。
少なくとも、将来に対する「希望」の一つでも具体化されただろうか。
例えば、かって「百年安心」とぶち上げた年金制度や、医療・介護保険制度を、政府は今
後どのようにして「安心」を生み出していくのだろうか。

「指導者の努めは、人に希望を与えること!」
これからではなく、今、世界中が緊迫と混迷の時代に突入した、と私は痛感している。
日本国民に希望と勇気を与えるリーダーが、今こそ待望される時はない。
今夏予定の参議院議員選挙は、もしかしたら日本の命運を決する最後の選挙になるかもし
れない。
だが、相変わらず半数の国民が棄権し、組織の後ろ盾のある人や、地元のメリットになる
人や、おバカの人気タレントや、6年間の高給をゲットしたいだけの人などが選出される
のだろうが・・・。

そんなことを考えた今週でした。
春はもうすぐ。
日本の社会にも、もう一度明るく活気のある春が戻れば、これにまさる幸せはないでしょ
う。

それでは良い週末を。