東井朝仁 随想録
「良い週末を」

続・ブレックファースト

前回のエッセイは「今までの人生で最適・最強(?)の朝食を摂る毎日が続いているので
す。この続きは次回にでも」と文を結んで終わった。
今回はその続きになるが、今となって「最適・最強(?)の朝食などと、大見得を切るの
ではなかった」と、少し悔いている。
「最」をつけるほどのことではない、と興覚めしているからだ。
でも、一応「?」をつけてあったので、これを言い逃れ保険として、「私にとっての最適
・最強の朝食」を紹介してみます。

朝は7時頃に目覚め、そのまま布団の中でぼんやりとしながら7時半頃に起床。着替え・
髭剃り・洗顔を済ませて階下に降り、すぐにTVをつけ、画面左上の東京のお天気マーク
と、昨夜からの新たなニュースの有無を確認。そして食卓に一人で座るのが7時45分頃。

食卓には大皿1枚、スプーン(小)2個、バナナ1本、森永純(pure)ココアの缶、カナダ
産純粋はちみつの瓶、セイロン産シナモンの小瓶、煮豆(家内の手作りの黒豆)が入った
容器、それに酒粕(300g)の袋。
それだけが予め置いてある。
家内は既に朝食を済ませている。
私は洋酒棚にある「ニンニク酒」の瓶から、ニンニク酒を25mlほど注いだ珈琲カップを
持って、着席。
同時に、家内が冷蔵庫から「明治ブルガリアヨーグルト」(400g)と、冷蔵庫から野菜
ジュースの入ったマグカップを出し、鉄分とカルシウム含有が売りのヨーグルトを皿に山
盛り4匙ほど盛ってくれる。
そしてシンプルな私の朝食が始まる。

朝食は以下の通り。
① まず、ニンニク酒のお湯割り。
  ニンニク酒が入った珈琲カップに、お湯と水を半々に足し、ゆっくりと飲む。(注・ニ
  ンニク酒は家の手造り。「宝酒造」の甲類焼酎(4リットル)の瓶に、瓶の4分の1ほど
  の量の剥きニンニクと、少々のキビ糖を加え、1年間以上熟成させたもの。常に4瓶は
  キープ)
  ニンニクはご存じの通り、米国政府が進めている国家プロジェクト「デザイナーフーズ
  計画」でも、「ガンになる危険性を少なくする最も重要な食物」と記されているように、
  まさに最強の抗がん食品。さらに免疫力向上や血行の改善などにも有効。特にその殺菌
  力から「畑の抗生物質」と呼ばれているほど。これほど健康に良い食べ物を、みすみす
  見逃す手はない。
  私は61歳で会社を設立し「丹精にんにく酒」(国際商標登録)の製造販売を7年間行
  ってきたが、当時から今日まで、1日1杯のニンニク酒の飲用を欠かさないでいる。

② 次に、娘が出勤前に作った「しぼりたて野菜ジュース」を飲む。
  昨今はやりのスムージーではない。スムージーは、果物や野菜に氷と水を加え、好みで
  牛乳やヨーグルト、アイスクリーム、はちみつなどを加えて、ミキサーで撹拌した飲み
  物。
  私が飲んでいるのはジューサーで作る野菜ジュース。それも従来のジューサーのような、
  野菜や果物をあらかじめ細く切って、狭い開口部から押し込み、高速回転する針山の盤
  で粉砕して、搾汁を作るような型式のものではない。
  これは、ご承知の方も多いだろうが、「クビンズ」という商標名のジューサー。
  従来のジューサーより開口部が広く、果物も野菜も、実も根も葉も、大雑把な大きさで
  入れられるので、手間暇が軽減され、材料も殆ど無駄なく使える。何よりのメリットは、
  ドリル低速回転して材料をゆっくり「圧搾」する仕様なので、「搾汁率」が高いこと。
  それに従来の高速回転型のジューサーは、材料が空気と交わりやすく酸化しやすいのに
  対し、グビンスは「酸化しにくい」ので、より新鮮なジュースとなること。
  いずれにしろ、新鮮な素材で作るジュースは、そのまま野菜や果物を食べるより、栄養
  の吸収率が4倍も良くなるとのこと。
  胃腸の弱い私は、野菜をそのまま生で食べるのは苦手。
  しかしジュースにすると、老化を進める活性酸素を抑える「抗酸化物質」が豊富な野菜
  を、大量に手軽においしく摂れる。
  現在の私にとって、3食通して一番重要なメニューとなっている。

  ちなみに材料は、キャベツ・人参・小松菜・リンゴ・レモンは定番で、それに日替わり
  で、セロリ・ブロッコリー・春菊・ほうれん草・レタス・白菜・モロヘイヤ・ゴーヤ・
  ピーマンなどを加えている。

③ 次に、輪切りにしたバナナ1本と、小匙3杯ほどの黒豆を大皿の左右に盛り、それぞれ
  に小匙山盛り3杯のヨーグルトをからませてから、はちみつをまんべんなく垂らす。
  そして、バナナにはココア・パウダーを小匙山盛り2杯。黒豆には「シナモン」を小匙
  1杯振りかける。
  このメニューも、この1年間余り毎朝食べてきたが、全く飽きない。
  なかには、「炭水化物系のバタートーストの一枚かバターロールの一つでも食べて、カ
  ロリーをもう少し摂ったほうが良いのでは」と言う人がいるかもしれないが、それでは
  朝食全体がアウトになってしまう。
  そもそもブレックファーストなど、30歳から70歳(厳密には昨年の5月)までの期
  間、私は殆ど摂らなかった(旅行中の朝食も、ホテルや旅館では殆ど食べなかった)
  現在の状況は、朝は量より質。量は昼と夕食でカバー。

  「それでは、現在の粗略なメニューは何をもって質としているのか?」と疑問に思う方
  も多いと思うので、簡単に説明を。

  バナナは、塩分(ナトリウム)を排出させるカリウムや、ビタミンB群・ビタミンC・
  マグネシウム・ポリフェノールなどの栄養や機能成分が多く含まれ、食物繊維も豊富。
  まさに健康食品。
  動脈硬化予防に必要なカリウムは、リンゴ1個に220mg含まれるが、バナナ1本には
  (大きさから)350~500mgも含まれている。
  私は以前から宴席が多く、便秘や下痢で悩んでいたが、バナナを食べ出してから快腸に
  なった。
  また、朝一の「主食」として、このバナナ1本は胃に優しくて食べやすい。

  黒豆は、小さい頃から正月のおせち料理で一番好きだった。
  黒豆は植物性タンパク質が豊富で「畑の肉」とも呼ばれ、私のような細身の者には、貴
  重な蛋白源となる。
  そして、抗酸化作用の強いポリフェノールをはじめ、身体に必要なビタミンE・イソフ
  ラボン・サポニン・レシチン・ペプチド・鉄などを含んでいる。
  したがって、目の健康や血液サラサラ・動脈硬化予防、疲労回復・骨粗鬆症予防、脳の
  老化予防にも効果がある。
  私は「良質な、肉より腎臓に優しい植物蛋白」として、軟らかく煮た黒豆を摂っている。

  ヨーグルトも良質なタンパク質が豊富。脂質・カルシウム・ビタミンA・ビタミンB1
  ・B2も含まれ、さらに私が食べているヨーグルトは、鉄分とカルシウムが増量されて
  いる。
  筋骨格の維持、腸内環境の改善、ひいては免疫力向上が図れる。
  私にとっては、サプリに頼らない自然な健康食品が第一。
  ともかく食べやすいので好きだ。

  はちみつは純度100%の生はちみつ(加熱処理されていない)で、ブドウ糖・果糖の
  栄養成分が豊富。
  したがってダイレクトに心身のエネルギー源となり、疲労回復効果がある。また、はち
  みつは古くから健康を助ける「生薬」として重宝されてきたように、抗菌・殺菌作用の
  ある酵素を多く含んでいるので、風邪の予防等に良い。
  甘味が好きな私は、バナナや黒豆やヨーグルトの味を引き立ててくれるのと、若い頃か
  ら喉が腫れる風邪にかかりやすい身体なので、はちみちを摂っている(この15年ほど
  は風邪にかかったことは無いが)

  ココアは、抗酸化作用が高く、動脈硬化や心臓疾患などに有用なポリフェノールを多量
  に含んでいる。活性酸素の害を抑え、心身の老化を食い止めるとされている。ココアの
  アルツハイマー予防効果も、外国の研究で報告されている。
  私は昔、ココアを飲むと何となく頭がすっきりしていたので、珈琲より好きだった。
  私は、神経質のタイプなので(かかりつけ医には「神経質ではない。神経が敏感なので
  す。それは利点なのです」と言われるが)、脳が疲れやすいのだろう。
  今は、純度100%のココアパウダーを摂ると、脳内が活性化する感じがしている。

  シナモンはセイロン産。
  漢方では「桂皮(けいひ)」と呼ばれ、血行を良くする生薬として使われてきた。
  私は子供の頃、ニッキ(シナモン)がついた、ピリッとした駄菓子をよく食べていた
  (駄菓子屋に細い棒状の菓子が、5円ほどで売られていた)
  シナモンは、身体の冷えを取り除き、血の巡りをよくする。食欲不振・胃のもたれ・胃
  の痛みを改善する作用があり、多くの胃腸薬に配合されている。
  胃もたれしやすい(酒の飲み過ぎ?)私には、ちょっとした良薬だ。
  このシナモン・パウダーを、はちみつとヨーグルトと黒豆を混ぜ合わせたうえに振りか
  けて食べると、子供の頃の思い出と共に、何ともいえない郷愁をそそる旨さが口に広が
  る。

④ そして最後に、酒粕を飲む。
  珈琲カップに、「清酒・白鹿」の酒粕を60gほど(カップの半分強の量)入れ、お湯
  を注ぎ、スプーンで搔きまわせる。
  砂糖やはちみつなどは、一切入れない。
  そして粥状になった酒粕をスプーンで食べる。
  酒粕には、タンパク質とビタミンB2が豊富に含まれている。
  両者とも心身の疲労原因物質を取り除く作用がある。
  また、発酵食なので、腸内環境の改善が促進される。
  私にとっては、前述のバナナやヨーグルトもさることながら、この酒粕が腸の不調にて
  きめんに効いた。
  酒粕を摂るようになってから今日まで、ほとんど便秘知らず。
  日本酒を飲み過ぎて胃腸を悪くしても、酒粕を食べて回復させているのだから、何をか
  言わんやだが。

以上が、私のブレックファースト。
ファースト(断食)をブレック(終わらせる)=朝食。
長年の朝食抜き(断朝食)が続いたが、去年にそれをやめました。
そして、今日も朝のルーチンとして「ブレックファースト」を摂りながら、平和で健やか
な「幸福感」を噛みしめているのです。

人から見たら、たったそれだけの1歩でしょうが、私にとっては大きな1歩なのです。

それでは良い週末を。