新春雑感(2) |
今年の正月(1月)も、残りあと5日。 今日も昨日も一昨日も、最低気温が氷点下の日が続いている。 気象庁によると「10年に一度の大寒波が襲来」とのこと。 昨年の今頃は、ロシアがウクライナとの国境周辺の軍備増強を図っていたが、日本国内で は、まだ「まさか、軍事侵攻は尚早だろう。プーチン一流の脅しだ」「たとえ侵攻しても、 ロシアの脆弱な経済力では、戦争を続けると国内がもたない」「米国とEU連合がその気に なったら、ロシアの比ではない」などとの雰囲気もあった。 だが2月24日、ロシアはウクライナに一方的に軍事侵攻し、侵略戦争を開始した。 これも当初、多くの人が「ロシアは短期戦を考えている。長引くと戦力も武器も兵糧も枯 れてしまうだろう。春が来る頃には決着がついているよ」と楽観視する声が多かった。 その後も。 「戦意喪失しているロシア軍兵士。旧式のロシア軍の武器。 国内に反戦のデモ。ウクライナ軍、反撃攻勢」とか、これも楽観的な報道をして、日本の 視聴者を喜ばせていた。 しかし、現況はご存じの通り。 戦争は1年も続いており、「まだ、今年1年はかかる」というアメリカの専門筋からの報 道もある。 専制国家は独裁・恐怖政治なので、その最高指導者の独裁で、一夜にして戦争も開始して しまう。 軍国主義だったかっての日本も、1941年10月。軍部が対米交渉に行き詰まった近衛 内閣を総辞職に追い込み、新たに発足した東条内閣がアメリカに1か月の猶予を与え「対 日経済封鎖解除」を迫ったが(東条内閣からしたら)不調に終わり、12月1日に対米英 蘭開戦を決定。7日にハワイ・オアフ島の真珠湾を奇襲攻撃し、同時に石油などの軍事に 必須な資源確保と、米英などのアジアの軍事拠点破壊を目的に、日本軍は東南アジアの主 要国に侵攻し、太平洋戦争が始まった。 この様なことは、国民の多くが学校で習ったことだが、一言で言えば、戦争はあれよあれ よという間に始まり、誰も止めようがなくなって激流のように突き進んでしまうものなの だろう。 太平洋戦争前でも、日本は対米交渉において戦争を回避できる譲歩案は示せたはず。しか し、開戦派・タカ派の国粋主義的な恫喝と、特高警察の弾圧によって、和平派・ハト派は 追いやられたのだろう。 全てごく一部の国家権力中枢の、狭量な思考力、自己陶酔的な分析力が、軽挙妄動を引き おこしたことだろう。 そうした政治家や軍部の妄動を許してしまったのは、平時における知識人・文化人、各界 の要人やマスコミの権力迎合主義もさることながら、国家の思想統制による偏狭な「皇国 日本」の愛国主義に陥っていた国民の側にもあったと、私は思う。 主語のない「過ちは繰りかえしませぬ」という、広島平和公園にある碑の言葉。現代を生 きる日本人全てが「あやまちをおかさない」で「反戦平和」を守り抜く覚悟があるかどう かが、今こそ歴史的に問われていると、私は痛感する。 今年も、あらゆる分野において「何年に一度の」「未曽有の」「想定外の」「戦後最大の」 などという国民・視聴者の耳目を驚かす表現が、マスコミから乱発されるかも知れない。 それだけ日本も世界も、予測不能な大混乱期に突入している。 1月23日に開会した通常国会における施政方針演説で、岸田総理は「異次元の少子化対 策」を強調していたが、キャッチフレーズばかり大仰で、新たな具体的政策はスカスカで 見えない。 それでいて「日米安保3文書」を改正し、日本も集団的自衛権における「専守防衛」の 「盾」の役割から、「反撃能力」の保有、敵地攻撃が可能な「矛」の役割も発揮できるよ うにした。 軍事費の予算倍増計画も、岸田首相は訪米で、バイデン大統領に公約した。 すべて、国会審議前の、世界に向けての既成事実づくりのようだ。国会、国民への丁寧な 説明など、後回し。 こうした政治手法が常態化してきた昨今。 これが、議会制民主主義国家と言えるのだろうか? 政権与党内部も、国会も、みな張りぼてのような存在か。 1月25日の日本経済新聞によると、この「日米同盟における日本の役割」について世論 調査を行った結果、「もっと増やすべきだ」が49%(2年前は41%)、「増やすべき ではない」が46%(2年前は53%)と、2年で逆転している。 それは、「中国・ロシア・北朝鮮から攻撃される不安を感じる」人が83%に上っている からだろう。 こうした国民の意識を背景に、政権は「国民に丁寧に説明していく」との建前をかざしな がら、どんどん軍拡に走って行くことだろう。一切の議論をスルーしながら。 日本はいつの間にか、「武力行使が国際紛争を解決する最高の手段」とする考えが主流と なってきたようだ。 あとは、後付けで憲法第9条の改正が図られるのだろう。 私は、今年の最大の課題は3Sだと思う。 「センソウ」「サイガイ(シンサイ)」「シャカイ(セイカツ)」のSが3つ。 この続きは次回にでも。 それでは良い週末を。 |