夏がゆく(1) |
朝から表参道に所用で出かけ、先ほど帰宅。 時計を見ると丁度午後の1時。すぐに1階の居間の温度計を見たら32度。2階に上がり 自室の温度計を見たら33度。隣の課内の部屋は36.8度。 この差の要因は単純。植込みがある土の庭に面した1階は、夏は陽光がほぼ垂直に落ちる ので、直射日光も反射光も入りずらいから。2階の南西側の角部屋である自室は、この時 季は常に西側の窓に遮光ネットを垂らし、さらに全雨戸を閉めっぱなしにしているから (居室の時は冷房を継続。1時間以上の外出の際はOFFに) 東南側の家内の角部屋は、カーテンだけして外出している。それでも私の部屋とは4度近 い差が出る。 テレビをつけて午後1時のNHKニュースを観たら、「今日も各地で猛暑日(最高気温 35度以上の日)を記録。命に係わる危険な気温。熱中症に十分に注意を」とアナウンサ ーが、令和版「空襲警報発令」のごとくに、興奮気味に話していた。他の局も「猛暑・熱 中症・こまめな飲水」のキーワードの連呼合戦。 今年の東京都心の7月の猛暑日は、37.7度を記録した昨日で8日目に。 これは過去最多とのこと。今日で9日目。 最早、「猛暑日・熱中症」の多発は、想定外でもなく過去に例を見ないことでもなく、 「これが日本の夏」になっているのだろう。 来年からは全国の猛暑日数の記録更新と、「40度越え」の日を「超猛暑日」とでも呼ぶ ようになるのかも知れない。 今は午後2時20分。自室の温度計を見たら、まだ28.7度。 この時季、私は27度が適温なので、もう少しの辛抱。 6畳の自室のエアコンは、3年前の夏に更新(注・標準使用期間は10年)したもの。 それも、近所の馴染みの電気屋のサービスで、シャープの8畳用の機器を設置したのだが (料金は6畳用機器の値段で)、効きが悪い(注・昨年までは問題なかったが)。もはや これからは、常時、35度以上の暑さに対応するパワフルなエアコンが標準になるのかも 知れない。 ところで、冒頭に表参道に所用で出かけたと書いたが、目的は南青山の通称「骨董(こっ とう)通り」に面したビルにある、かかりつけの「片桐歯科クリニック」に定期診察で行 ってきたのだ。 「歯並びの矯正と、強い嚙み合わせ防御」のために使用中のマウスピースの点検・修整が 第一。それに細かな歯石除去を行うため。 最新の歯科用医療機器が設置された、ゆったりとした洒落た個室。 リクライニングの大きな椅子に寝そべっているだけで快適。 すべて、若い優秀な院長が集中して施術・処置をしてくれる。 診察終了は、だいたい1時間~1時間半後。 院長と立ち話をし、会計を済ませて退出。 今日の診察料は960円。1割負担の恩恵。 ビルを出ると、まさにそこは灼熱の街中。 表参道の駅までは徒歩で10分程度だが、歩き始めるとすぐに額に汗が浮かび、息苦しく なってきた。半袖のポロシャツが背中の汗で濡れている。 急激に喉の渇きを覚え、途中、自動販売機でポカリスエットの500mlのボトルを買う。 料金は180円。私の感覚では少し前までは130~140円程度の物だったが、ここに 来て、全てのものが急激に値上がりしてきた。 そして全ての品物やサービスの質が縮小劣化してきたと、私は感じるのだが。 この猛暑。国民は水をがぶがぶ飲む。クーラーを昼夜を問わずにがんがんかける。ウクラ イナ侵略戦争や世界的な異常気象によって、食料や肥料や原材料が不足して流通が滞り、 食料品も鉱工業品も各種サービスも何もかもが値上がりしていくが、今夏のガス・電気・ 水道代もウナギ上がりのことだろう。 ウナギと言えば私の大好きな食べ物の一つだが、先週、ある蕎麦屋チェーンの店で「うな 丼」を食べたのだが、ひらひらの小さなかば焼きが乗っているだけで、3000円ほどの 料金だった。 勿論、冷凍保存の中国産蒲焼をチンするか、パックごと湯で温めた代物なのだろうから、 ぐにゃぐにゃして旨くなかった。 かと言って、真っ当な蒲焼を食べたくとも、最早そのへんの街中には店がなく、希少価値 の店をネットで探して予約して行くしかない。 あるいは、私の好きな世田谷区上野毛にある「菊川」の蒲焼は美味くて料金も良心的だが、 自宅から気軽に出かけるには遠方すぎる。まだ訪れたことがない店だが、今度、隣町の桜 新町にあるウナギの「川信」を訪問しようと思っている。おなじみ「サザエさん」の地元 にあるウナギ屋で、漫画にも「川信」からの出前が描かれている。 やるなら今、食べるならすぐにしないと駄目だろう。 値段もさることながら、モノが入手できなくなってしまったらおしまい。 いつどうなるかは「美味いうな丼」に限ったことではないが。 値上がりの話に戻ると、私が今更ながら驚いたのは「新聞代の格差」。 新聞代など各社殆ど横並びと思っていたが、これが違った。 先ほど表参道駅に戻って帰路に就く途中、コンビニで朝日新聞を購入し、100円玉を2 枚、店員に支払った。 すると年配の店員が「新聞も高くなりましたね」と言いながら、お釣りの20円をよこし た。 私は「朝日が180円、読売が150円、東京新聞は120円。格差があるね。 朝日が高すぎるよ」と苦笑したら、「日経は200円ですよ」と言われたので ビックリ。 それは知らなかった。 作家の五木寛之氏が、180円の夕刊紙「日刊ゲンダイ」のエッセイ欄で「国民の新聞離 れが言われている昨今だが、私は最近のほうが丹念に新聞を読むようになった。それは昔 よりテレビを観なくなったからだろう。どこの局にチャンネルを回しても、食べ物映像が 出てくるのにうんざりするのだ」と述べていたが、私もまさに同感。 今こそ新聞!という気持だ。 それにしても、新聞代にこれだけ格差があるとは今更ながら驚いた。 当然、販売数=収入と新聞作成経費(企画・取材・編集の質量)から生じた格差だろうが、 新聞もテレビも、今やどの社が突然に閉業してもおかしくはない状況にあるのだろう。 そのうちに世界の専制主義国家のように、実質的に国営だけになるのかも知れない。最近 のNHKテレビを観ても、他の民放局と見まがうような「くだらない、おちゃらけ」の番 組が目立ってきた。劣化してきたと私は感じているが。 マスコミの世界だけは、何とか各社とも頑張って、権力や資本力の軋轢に抗しながら、ま さに社会の木鐸として、真実の報道を続けて貰いたいものだ。 今日も暑い。 心が熱く燃えることは歓迎だが、この異常気象=地球温暖化による猛暑は、ご免こうむり たいもの。 今回は、とりとめのない話をしましたが、ご容赦のほど。 それでは良い週末を。 |