東井朝仁 随想録
「良い週末を」

41年前の小論文


   今から41年前の昭和57年(1982年)の初春、私が34歳の時、人事院主催の行政
   研修(係長級)別科コースの研修会が実施された。
   人事院の説明によると、研修の趣旨は「各省庁の係長級の職員のうち、主として国家公務
   員採用試験(初級・中級)による採用者で勤務成績の優秀なものに対し、将来の管理者要
   員としてふさわしい知識、能力等を習得させ、これら職員の幹部への登用の円滑化に資す
   ること等を目的として、パイロット・スタディとして実施されるもの」とのことだった。
   まさに当時の国(人事院)としては、旧弊の公務員制度を改革し「ノンキャリア」にも将
   来への希望を抱かせる、画期的な取り組みだった。

   研修内容はその趣旨にそって、埼玉にある人事院公務員研修所での10日間の合宿研修を
   含め、小石川の国家公務員研修センターで1月28日から3月3日までの期間、講義及び
   演習が9時半から16時半まで毎日行われた。
   研修事項は、「種々の行政課題、国際関係(国際社会と日本)、労働関係、公務員倫理、
   政策過程、読書研究、経済関係等」で、これらについての講義、班別討議、グループ研究、
   論文作成の演習が濃密に行われた。
   研修生は40名。平均年齢36.6歳。平均係長在職年数5.2年。
   研修成績の把握は「各事項ごとの論文の評定及び課業時間における発言等の観察」で行わ
   れ、その結果は各省庁人事課長宛てに通知されることになっていた(注・成績優秀者は
   「特別昇給」があり、運よく私もゲットできた)。
   私の役人人生で、一番質量があり、ためになり、楽しい研修会だった。
   その研修の実施結果報告書が人事院より配付されたが、国際関係演習「国際社会と日本」
   の研究課題論文として、私の小論文が掲載されていたことは嬉しかった。

   そんな40年前の報告書が出てきたので、当時の様々な出来事を懐かしく思い出しながら
   「現在の日本の外交姿勢や、国家公務員制度改革の状況」に思いを巡らせているのです。
   そこで、今回はエッセイに換えて、当時の小論文をあえてここに掲載する次第なのです。
   小論文で述べている私の外交に対する期待は、激動する現在でも当時と同様です。
   お手すきの時にでも、ご一読・ご笑覧くだされば幸いです。
   それでは良い週末を。