白い春(1)
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新年度が始まった4月第2週の今週(4月7日~)も、今日の12日(金)で早や6日目。 その6日間に、国内外では様々な出来事が起こり、相変わらず暗いニュースが溢れんばか りに流れていた。 でも振り返ると、その日々の流れの中で、脳裏に浮かぶのは目黒川の川面に浮かぶ桜の花 筏(はないかだ)ぐらいだ。 昨日の昼、中目黒駅前のクリニックに行った帰りに、そばの目黒川に立ち寄って眺めたの だ。 今では都内でも有数の花見の名所となった、目黒川(川沿いの遊歩道)の桜並木。 私が目黒区内の小学生だったころの目黒川は「どぶ川」と呼ばれていたように、川沿いの 工場排水や生活排水がとめどもなく流れ込み、下流に行くほどドロドロとした汚水川とな り、ところどころが汚泥化して、下から発生してくるメタンガスがブスブスと小さく噴出 していた。 また川底が浅く、台風や大雨が襲来しては何度も氾濫していた。 だが歳月を経て、目黒川は見事に整備された。 川の両岸の1キロに及ぶ遊歩道に植えられた桜木も大きく成長し、川面に垂れ下がるほど に伸びた桜の枝が、橋の上から眺めると両岸の桜の枝がアーチ状に続いて見える。よくぞ ここまで育ったものだと、感心する。 豪華絢爛な桜が楽しめるきれいな川に造成され、都内の桜の名所となってから久しいが、 これなどは、当時の政治・行政責任者の先見の明と果断による、良い公共事業だったと思 う。 11日(木)の目黒川は、すでに殆どの桜が散り終えていた。日曜日(7日)頃に満開に なった桜は、たぶん火曜日(9日)の一日中降り続いた強雨で散ってしまったのだろう。 それでも、治水等の河川整備のために、マンションの地下2階分ほどの深さまで、掘割さ れて造成された目黒川の川面を見下ろすと、ゆるやかな水流に乗って桜の花筏が流れてい た。 その花筏も、いつしか水の流れから取り残され、川端に堆積しているたくさんの花びらと 一緒に留まってしまう。だから眺めていると、花筏として流れているのは束の間のようだ。 時間は留まることは無いから、日々の情報も激しく移り変わり、今日あった大きなニュー スも、翌日には他の衝撃的なニュースにとってかわり、1週間後には忘れ去られていく。 今年の満開の桜は、私の住む地域周辺を散策して十分に楽しめた。 (注・今週のHP「良い想い出に」の写真をご覧ください) そして、締めの花見が目黒川の花筏となった。 前述したように、時は流れ去る。 今週の記憶も、忘却されていく。 たったこの一週間の短い時間にも、重要なニュースが流れていた。 そこで、幾つかの目についたニュースを朝日新聞の記事を参考に記載してみると。 〇4月7日(日) →1面の見出し「ガザ 深まる絶望/戦闘半年、破壊・飢え・娘の死『これ以上何を』」 これはイスラム組織ハマスの奇襲に端を発した、イスラエルのパレスチナ自治区ガザへの 住民殲滅攻撃の実相をえぐった記事。 ガザでは死者が約3万3千人、負傷者約7万6千人、避難民170万人の被害が出ている。 インタビューに答えた避難民の言葉「毎日のように多くの罪のない大人や子供が殺される。 家が爆撃される。飢えに苦しみ、たくさんの死を目の当たりにし、今日、我が子を失った。 これ以上、イスラエルは何を望むんだ?」そして「この残酷な戦争が終わってほしい・・・。 希望を捨てず、そう祈り続けることは、もう難しい」 2面には「米、イスラエル支援やめず。即時停戦、高い壁。国連、有効な手立て打てず」 との見出し。 また、社説では「ハマスを支援するイランと、イスラエルとの間で武力報復がエスカレー トしており、中東の全域で緊張が高まっている。ガザの戦闘を止める時だ」と。 戦争を止める方法が見当たらない。国連は無力。世界中も無力で看過するしかない状況。 日本はアメリカに追従していく。結局、人類の知恵では「戦争を止めさせるには、戦争で 止めさせる(武力で抑え込む)しかない」という結論になるのだろうか。今、日本も世界 中も第三次世界大戦という、人類終末戦争への道を突き進んでいる気がしてならない。 〇4月8日(月) →1面左の見出し「沖縄県 米軍基地7割が集中 /21知事が『負担軽減すべき』」 ※これは、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設について、47都 道府県知事へのアンケ ート調査の結果。 「① 沖縄の米軍基地負担は軽減すべきか」との問いに、「軽減すすべき」と答えたのは、 21道府県の知事ということ。 他に「②代執行した国の対応は適切か」「③辺野古移転計画は適切か」の計3問を聞いて いるが、それぞれ「適切」と回答したのは3県と2県。1県(岩手県知事)のみ両方「不 適切」。 「代執行」とは、昨年末に、沖縄防衛局が辺野古の新たな区域を埋め立てるための設計変 更申請を県知事が承認しなかったので、国が沖縄県知事に代わって承認したこと。 私が驚いたのは、①については46都道府県中25都府県知事が無回答(又はどちらともいえ ない)。②は42都道府県知事が無回答等。③は43都道府県知事が無回答等。 全てに無回答なのは24都府県知事。 何でこれほど多くの知事が無回答(又はどちらともいえない)なのか。旧態依然として 「当たり障りの無いスタンス」「自分に直接関係ないことは、答えない」という保身が出 るのか。 沖縄県知事は「米軍基地の負担については日本全体で議論し、日本全体で行うべきだ」と 常々主張しているが、私は至極真っ当な言葉だと思う。国土面積の0.6%しかない沖縄に、 全国の米軍使用施設の70.3%が集中している。太平洋戦争末期に米軍の砲火を浴び、多く の戦死者を出し、無残に焼け野原となった沖縄は、敗戦後27年間もの間、米軍占領下の 下で土地の接収による基地建設が進んだ。そうした苦難の日々を送って念願の「日本復帰」 が1972年になされたが、米軍基地はそのまま固定化されて今日に至った。 まさに、この問題は国と沖縄県だけの問題ではない。これからの日本の防衛戦略を基軸に、 地方の自主性を踏まえながら、46都道 府県知事も米軍基地の負担分担の協議に積極的に 協力して貰いたいもの。 それなのに多くの都道府県知事は「他県における国の施策について、意見する立場にない」 「安全保障に関することは国の専管事項」と回答するところが多かった。 みな無難にスルーすることしか考えていないのだろう。 ただ「負担を国全体で分かち合うことは、皆で考えなければならない」との意見を持つ知 事も何人かいた。 元高知県知事の橋本大二郎氏は「国防や外交に関することでも、地方はきちんと意見を言 うべきだ。安全保障は地元住民の協力があって、初めて力を持つ」と述べているが、その 通りだろう。 私がこの日の紙面を通読して一番共感したのは、46都道府県知事 中、唯一「不適切」と 答えた達増・岩手県知事の言葉。 「国と地方は対等な関係のはずだか、非常に中央集権的で強権的な運用がなされた。政府 には本来、県民や国民が納得するような政治的努力が求められるのに、行政技術論で進め てしまった。 外交や防衛は国民の納得が無ければ成功しない。地方の首長は、そういう国の在り方にど んどん意見を言って良いと思う」 私は、このような人にこそ、今の日本のリーダー(首相)になって貰いたい」と痛感した。 国政には、与党にも野党にも一国の指導者としての見識と力量を備えた人材は見当たらな い。 小選挙区制で狭い選挙区の一部の有権者から選出された国会議員は、誰も彼もが会社でい えば課長級の小粒。 それでいて外交や防衛や経済問題より、明けても暮れても「政治と裏金問題」で大騒ぎす るのが得意仕事の様で、あとはチャラチャラした人物ばかりしか見えない。 その点、はるかに選挙区が大きく、その中の最高為政者である知事クラスの中に、意外と 日本のリーダーになり得る優秀な人材がいるのかも知れない。 時の流れは速い。それとも筆が遅くなったのか。 今は午後4時。 陽は伸びて西の空は明るく輝いています。 今週の目に留まったニュースを、今回で一挙に述べようと午前中からパソコンに向かって いましたが、最早ここまで。 長くなるので、続きは次回にでも。 それでは良い週末を。 |