物思い種(1)
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「今日は恋人の日です」と、スマホの画面にのっていた。 最近は滅多矢鱈(めったやたら)に「〇〇の日」が出回っていて苦笑してしまう。 調べると、恋人の日とはブラジル・サンパウロ地方で、縁結びの神・聖アントニオの命日 の前日(6月12日)を「恋人の日」とし、家族・友人・恋人同士が写真立てに入れた写 真を交換し合う風習があるようで、日本では日本額縁組合連合会が1988年から主唱し ているとのこと。 なるほど、額縁の普及のみならず、縁結び・恋人づくり・報恩感謝などに絡めたら、食べ 物や小物やサービス券などの販売促進にも利用しやすい記念日のようだ。 ちなみに6月の記念日をざっと調べると、歯と口の健康週間の初日(4日)の「虫歯予防 デー」(注・現在は名称が改変されているか?)、10日の「時の記念日」16日の「父 の日」が昔から馴染みだが、他にも1日(電波の日・写真の日・気象記念日)18日(海 外移住日)、23日(オリンピックデー・沖縄慰霊の日)26日(国連憲章調印記念日)、 28日(貿易記念日)などがある。 その様などうでも良いことを、なぜわざわざ述べたのかというと。 今日は午前中、某病院に見舞いに行き、その帰りに新聞の朝刊を買い、喫茶店に入って珈 琲を飲みながら、ぼんやりと物思いに耽っていたのだが、その時に冒頭で述べたように スマホの画面が光ったから、ついつい「〇〇の日」を思い種(ぐさ)にしていたのだ。 私は昔から、喫茶店に入ると本や新聞を読むこともさることながら、ぼんやりした脳裏に ぼんやりと色々なことを連想しているのが好きだった。 例えば、先ほどまで1時間ほど喫茶店にいたのだが、その間の物思いの種は「〇〇日」だ けではなかった。 スマホのイヤホンで、最近一番はまっている西田佐知子の歌を聴きながら新聞に目を通し ていたのだが、それも10分ほど斜め読みして終わり。 やはり喫茶店では、目を閉じて音楽を聴きながら、心安らかに物思いに耽っているに限る。 そこで、私が今までの日本の女性歌手の中で、最も歌が上手く魅力的な歌手と確信してい る、スリムなスタイルとクールな美貌の歌手・西田佐知子の歌を連続して聴いていた。 まずは彼女の代表作の「アカシアの雨にうたれて」「東京ブルース」「女の意地」「赤坂 の夜は更けて」。 次に、感嘆するほどうまいのが、カバー曲の「長崎は今日も雨だった」(元唄・ 前川清)、 「釧路の夜」(美川憲一)、「港町ブルース」(森進一)「京都の夜」(愛田健二)。 さらに、私が一押しの曲「裏町酒場」と「初めての街で」。 この2曲がおススメ。 彼女の凄さは、高音から低音まで伸び伸びと発声する抜群の歌唱力で、ポピュラーソング も演歌も、見事に自分のモノにしていること。 彼女の歌は演歌とポピュラーの雰囲気が混在して、とても素敵だ。 そうした歌を聴きながら「他にブルースの歌は・・・」と思い種を見つけ、 「柳ケ瀬ブルース、新潟ブルース、中の島ブルース、思案橋ブルース、長崎ブルース成人 のブルース・・・」と心の中で一つ一つの曲を想い出す。 成人のブルースは青春歌謡の名手・舟木一夫の歌。 舟木一夫の数ある歌の中で「人・ひと」がついた歌を想い出す。 「水色のひと、たそがれの人、美しい人、紫のひと・・・」 その中で、舟木一夫のデビュー曲「高校三年生」のレコードB(裏)面にあった「水色の ひと」を聴く。 そして、人がつく歌の中で私がとても好きな歌だった、男性歌手・三浦洸一が1956年 (昭和31年)に歌ってヒットした「東京の人」を聴く。 こうしてあっという間に1時間が過ぎ、慌てて帰宅しました。 現在の時刻は午後3時半。これから再度外出。 「馬鹿な物思い種」と自省しながらも、「馬鹿か。そういえば頓馬、馬脚をあらわす、馬 面、馬の耳に念仏と、馬の偏屈言葉も多いが、ここは馬耳東風で行こう」という次第なの です。 この続きは次回にでも。 それでは良い週末を。 |