新春に思う(1) |
2025年が始まった。 今年は第二次世界大戦後の80年間で、日本も世界も「今だかってない激動年」になると 予測される。その激動要因として、先日、アメリカの調査会社が発表した「今年の10大 リスク」があげられる。 今回のエッセイは、その詳細を述べることが趣旨ではないが、1番から3番までの事項を 掲載し、自論を交えて述べてみると次の通り。 ・1番→深まるGゼロ世界の混迷 大国のアメリカや中国などが自国優先主義を志向し、国際秩序を主導する国家「G7のよ うな世界の主要Group」が存在しない世界情勢になる。世界の警察を自負していたア メリカなどは内政重視で他国の問題からは手を引き、世界情勢は無秩序になり、新たな世 界大戦すら起きるリスクがかってないほど高まるおそれ。アメリカが世界的なリーダーシ ップを放棄することにより、ならずもの国家を勢いづけ、より深刻な地政学的対立や不安 定が生じるおそれ。 習近平主席は「2027年までに台湾侵攻の準備を整える」と宣言してきたが、トランプ 大統領が台湾問題に不干渉の態度を示せば、中国が一気に台湾侵攻を敢行するおそれ。 日本の北方領土へのロシアの進攻も 絵空事ではなくなるおそれもある。 ・2番→トランプの支配 アメリカはトランプ大統領が司法省やFBI(アメリカの警察機関・連邦捜査局)などに 自分に忠誠を誓う幹部を配置し、自己の絶対的権力の下に、法の支配を弱体化して独裁的 な政治を行うおそれ。自由と民主主義の政治大国だったアメリカの信用失墜、世界的な専 制政治台頭のおそれ。 ・3番→米中決裂 米国第一主義のトランプ氏が大統領になり、自国経済保護から中国からの輸入品に高関税 を課すなど(日本などの同盟国にも相応の課税)により、米中関係の安定が崩れ、世界の 経済が悪化するおそれ。 以上のリスクだけでも、日本に無関係とはならない。 今年に限ったことではないが、ついでに頭に浮かぶ今年の日本のリスクを上げると。 1.「首都直下・南海トラフ地震の発生」を筆頭として、近年顕著である気候変動による 猛暑・厳寒・台風・大雨洪水など、一年を通しての自然災害の多発。 2.これらに伴って露呈してきた、日本中の上下水道管・鉄道・幹線道路・橋・トンネル ・空港・港湾などの老朽劣化。 3.大災害発生時の避難・救護体制の未整備。被災後の復旧・復興体制の不明確化。 首都圏での大災害では、巨大な人数の被災者は、1週間、1か月、いや、1年~数年それ 以上の期間、どこでどのように生活すれば良いのだろうか? ビルや家屋が倒壊・半壊を免れても、流通の要の道路や線路、日常の生活に不可欠な電気 ・ガス・水道の復旧、さらには医療機関の確保には、甚大な人手と時間と金を要する。地 方と違って首都圏では仮設住宅など建てられる場所がない。 だから都民の多くは、地方に段階的に大量移動せざるを得ないかもしれない。 その辺の計画は策定されているのだろうか。 災害が起こってから「こんなことは想定外だった」などと言うことは言語道断、許せない。 例えば私の住む家の近くに、首都高速3号線の高架道路が走っているが、2011年の東 日本大震災の時は、その東西に長く伸びる高架道路が左右に大きくしなって揺れたそうだ。 当日の夕暮れ時、青山の4階建てのビルの事務所にいた私は、揺れがおさまってから青山 通り、首都高速線の下を通る玉川通りを歩いて帰宅の途についた。 ようやく世田谷の上馬の地点まで辿り着いた時、道路沿いに馴染みの印刷屋の主人が、店 頭にぽつんと立っていた。 声を掛けたら「凄い揺れで店を飛び出たよ。したら、あの高速道路が向こう側とこっち側 に左右に行ったり来たりブンブンと揺れてね。もう驚いて身体が動かなかったよ。 ただ、向こうに倒れるかこっちに倒れるかしか考えられなかったね。こっちに倒れたらこ っちのビルにぶつかって、店はぺしゃんこだよ。でも幸いにどちらにも倒れなかったので、 本当に助かったよ」と、ようやく生気が戻った表情で語ってくれた。 この3号線は、昭和39年東京オリンピックの頃に出来た。1本足の橋脚で橋桁(はしげ た)を支えている、日本でも屈指の老朽高速道路と思うが、今でも都心を貫く重要な幹線 道路。 しかし、その大震災後に実施した補強工事は、橋脚の周りに鉄板を張り合わせただけ。 「こんなことで大丈夫なのか?でもこれは仮工事で、随時、全面改築していくのだろう」 と思っていたが、その後、何ら具体的な補強工事らしきものはなされていない。 この3号線以外にも、都内には多くの老朽高速道路や国道が通ているが、これらだけでも 崩壊したら、日本の大動脈が破裂し、食料も何もかもの流通がストップしてしまう。東日 本大震災から約15年。当時よりすべての劣化が進んでいる。 ○○給付金とか、新型コロナ対策補助金とか、東京オリンピックだ大阪万博開催だとか、 国も都も色々と税金をバラまいているが、我が国の安全安心のための基盤整備は、一体ど こまで進んでいると言えるのだろうか。 やはり「今さえ、カネさえ、自分さえ良ければ」それでいいという、平和ボケの政治家と 共に、耳触りの良いことをSNSなどで見て、これを熱狂的に支持する人たちが、これか らの日本の路線を引いていくのだろうか。 リスクは、今の政権・政治家と共に、その政治に「経済政策」=自分にカネが得られる政 策しか期待しない国民にも、あるような気がしてならないのです。 それでは良い週末を。 |