新春に思う(2) |
私は毎年、新年を迎えると「その年の誓い」を能率手帳に書き記すのが通例だ。誓いとい うと大仰だが、その年を生きていく際の態度のありようとする「心構え」とか、その年の 日常の「実行目標」といった、ほんのちょっとした心定めを、手帳の最初のページに備忘 録(手控え)として書いておくのだ。 約束と言っても、それは神に誓うほどのことでもなく、ましてや家族を含めて他人に知ら しめることでもない。自分の心根に確認させるだけなのだが。 漫然と日々をやり過ごしている時や、怠惰な気持ちに陥って勇めない時に思い出し、喫茶 店などでそっと手帳を開き、元旦に誓った文字を眺める。すると「そうだったな・・。俺 は何をしているんだ」と気づき、自分に叱咤と激励の感情を喚起させてくれる、と信じて いるのだが。 いま、私の机の引き出しに1975年(昭和50年)から2025年の今年分までの、 50冊の手帳がある。 その中の何冊かを、古い順に無作為に取り出し「どんな誓いをしていたのか」と見てみる と。 〇1976年→私が28歳で迎えた年。(初めて能率手帳を購入したのは前年の1975 年版だが、正月の目標は記されていなかった) 「(心構え)喋るよりまず実行! 感謝の心、素直な心、明るい心! (目標)大学院合格!神殿朝勤め(7時)の励行!三食の励行!」とある。 ※この年に大学院を受験・合格し、厚生省を退職する心構えをしていた(1年半前に結 婚した妻は外務省の正規職員で、子どもは未だいなかった)しかし、とりやめた。 〇1980年→32歳で迎えた年。第2子が1歳となり、職場では係長2年目だった。 「(心構え)①怠け心を排し、精一杯の努力を!②周囲との協調。仲間とのチームプレ ーを!③親孝行に励むこと!④身体を鍛える! (目標)①勉学 社会学専門書を多読する。②スポーツ ゴルフと硬式テニスの上達。 ③物 家の増築と自動車購入。 ※28歳時に、母屋に併設して新築したプレハブ建築の平屋の小さな家(2K風呂無し)。 これが手狭だったので、6月に同じプレハブ建築で2階を増築した。自動車購入(軽の ホンダN360)は控えた。 テニスは、春に高輪テニスクラブに入会し、秋には3クラス(上級・中級・初級)の上 級まで行った。 〇1991年→43歳で迎えた年。前年末に4年の歳月を経て「天理教団内の、某大教会 とその下部教会の甲都分教会(父が会長)との係争」が、奇跡的に和解した直後だった。 和解金 (立退料等)で私は世田谷の中古家を購入し、43年間住み慣れた目黒の地か ら一家5人(夫婦・子供3人)で移転した年だった。 「(目標)健康に留意し、細心大胆に行動する。 ①甲都問題の終結・整理 ②家屋購入・転居。③新たな環境への対応 ④自己の責任全 う(仕事・家庭・人間関係) (健康)①朝食の励行。節酒。牛車腎気丸と黒酢の飲用。柔軟体操の励行。冷温水シャ ワーの励行。就寝前の氣の呼吸法励行」 〇2000年→52歳で迎えた年。 「(目標)①朝起き(7時起床・朝食・素振り・ウオーキング)②語学の勉強 ③ゴル フ ・ハンディ10 (健康第一)①節酒(週2日禁酒、2次会は無し)②腹七分(内臓を休める)③鉄アレ イ体操④ウォーキングの励行 ⑤薬(特に胃薬)は極力控える。⑥足三里へのお灸⑦漢 方茶・牛車腎気丸の飲用⑦水分を十分に摂取。 (心構え)①無理をしない ②平らな心・好き嫌いをなくす③高慢にならない④相手を ほめる」 ※この年は厚生労働省の地域保健・健康増進・栄養課に在籍し、我が国の国民健康づく りの指針となる「健康日本21」計画の策定にかかわっていたため、自分自身の健康保 持・増進にも気持が入っていた。 ゴルフのハンディ10とは、私が会員のゴルフクラブであるカントリークラブ・ザ・レ イクスで、ハンディキャップ10の「証明書」を取得することだが、年の最後の12月 になって13の証明書が出た。 キリがないからやめるが、このように毎年毎年、正月になると1年の抱負を手帳に認めて きた。 だが、今年の正月は50年間続けてきた慣例の誓いを、やめた。 そのかわり、年賀状の返信葉書(注・去年から年賀状を予め出すことをやめているが、正 月三が日に頂いた賀状に対しては返礼している)には、新年の挨拶文の見出しとして「覚 悟と辛抱の一年に」と書いて出したのです。 この一行に、今年の私の誓いを込めたつもりなのです。 この続きは次回にでも。 それでは良い週末を。 |