東井朝仁 随想録
「良い週末を」

梅雨入り前に思うこと(1)
今日は軽い二日酔いで、午前中は少し頭が重かった。
昨夕、厚労省時代の朋友U君と、渋谷スクランブルスクエアの12階の中華料理店に入り、
暮れなずむ渋谷の街を眺めながらの優雅な夕食をしたのだが、話が弾むにつれて酒盃を口
に運ぶ回数も増え、気がつくと渋谷の街は夥しい数のネオンが闇夜に煌めく時間になって
いた。
結果、私は小生ビールの後に紹興酒を3合近く飲んでいたのだった。
この酒量は昔(何年前までか?)の私なら適切量だったが、軽度と言えども二日酔いの症
候があるのだから、過ぎた量だったのだ。
先週の水曜日の夕方は、新幹線「佐久平」駅前の日本料理屋で、佐久市役所の長年の朋友
3人と2時間弱ほど日本酒で飲み語り、乗車時刻の10分前に席を立ったのだが、この時
も小生ビールにお銚子3本の日本酒だったが、翌日は何ともなかった。
新幹線で約1時間半、山手線と田園都市線で約30分仮眠しながら帰宅したのと、日本酒
を超熱燗にして飲んだのと、こまめにコップのお冷を飲んでいたことが二日酔いを招かな
かった要因だろう。
先週の金曜日は後輩のK君と大手町のウナギ蒲焼店で夕食をした。やはり小生ビールと日本
酒の熱燗を3本ほど(2.5本?)飲みながら駄弁ったのだが、コップの水を意識的に多め
に飲んだ。
翌朝は全く頭の重さは無かった。

今朝は頭が重かった。思い起こすと、約3時間の夕食の間、全く水を飲んでいなかったの
だ。
今日は朝食後すぐに喫茶店に行き、タンザニア産の珈琲「キリマンジャロ」のホットをス
トレートで飲んだら、もやっとした頭の霧が一掃された。
どこの喫茶店でも「ブレンド」が定番で、殆どの客は店員に「ブレンド」と注文する。珈
琲の品種を何種類か置いている店など、殆どない。
だから珈琲を注文する時は、ブレンドかアメリカンか、ホットかアイスか、サイズはSか
MかLか。それだけのこと。
私もこの冬まではそうだった。入店してすぐのレジ前で、店員に「ブレンド・S」の一言
のみ。
しかしこの春から、近所の行きつけのチェーン喫茶店であるドトールとコロラドで「ブレ
ンド」以外に数種類の珈琲をメニューに揃えた。
私は「チェーン店の珈琲が安いのは、何の豆が使われているかわからないブレンド珈琲を
主としているからだ。だから味に深みがないのは仕方がない」と常々思っていた。そして、
そろそろ店を変えようと思っていたところだったので、渡りに船だった。
この春からは品種でオーダーしている。

値段はブレンドより140円ほど高いが、サイホンで個別に淹れてくれるので、美味さが
違う。
例えば酸味の強い順を縦軸でみると「マンデリン・コロンビア・キリマンジャロ・モカ・
ブラジル」となる。
苦みの強さは、その序列の反対。
この縦軸に対しての平行軸に、左からコクのある品種順に、右のスッキリまでが並んでい
る。
ちなみにコクのある順は「マンデリン・コロンビア・ブラジル・キリマンジャロとモカ」
となる。
スッキリはその序列の反対。
キリマンジャロは酸味とスッキリのバランスが良いので、飲んだのだったが、まあ正解だ
った。水分と適度のカフェインが摂れれば、他の品種でも同様だっただろうが。

だが、二日酔いの重い頭が晴れたのもつかの間、今度は気が重たくなることがあった。
それは珈琲を飲み終わってからほどなくして、今朝の新聞の一面を読んだからだ。
そこには「米軍駐留費 上積み検討/政府、数百億円規模」という見出しで、「トランプ
大統領の在日米軍駐留経費の増額要請に対し、政府は現在の約2110億円の日本側負担
額に、数百億円上積みする検討に入った。しかし防衛省幹部は、この程度の額では済まな
いだろうと述べている」という記事が掲載されていた。
そして、現在読んでいる「動乱期を生きる」(内田樹・山崎雅弘共著、祥伝社新書)とい
う、政治・社会・教育・安全保障といったテーマを基に、現代の日本と世界の問題点を明
らかにしている書籍の中の一文を、即座に思い浮かべた。
「内田:トランプは予備選中からNATOからの脱盟や、同盟国との安全保障条約の廃棄
に言及してきました。アメリカ・ファーストである以上、同盟国に最大限の負担を求めて、
アメリカの負担を軽減しようとするのは当然です。
日本人は『日米同盟基軸』は盤石だと信じているようですけれど、日米安保条約は締結国
の一方が廃棄を通告すれば、1年後には自動消滅します。アメリカに『日米安保を廃棄す
る』と通告されたら、自前で安全保障戦略を考えたことのない日本の政治家や官僚はアメ
リカに取りすがって『お願いだからいかないで』と懇願するしかありません。当然、アメ
リカは交換条件として莫大な経費負担、米国の兵器産業からの兵器の大量購入、在日米軍
基地の『アメリカ領土化』など、日本から引き出せるだけのものを、引き出すつもりでし
ょう。(以下略)」

だから今「数百億円の上乗せ」がさらりと報道されたり、国会やマスコミが目先の米価対
策=選挙対策で騒ぎまくっている状況に、私は愕然としてしまう。今の今、世界中が明日
をも知れぬ動乱状態にある中、与野党共に、参議院議員選挙目当ての党利党略を繰り返し
ている場合ではないはずだ。

そんなことを考えていたら、気が重くなった次第です。
この続きは次回にでも。