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東井悠友林


   ~ 私の愉しみ ~
                                
                                       佐久市企画部広報情報課 情報政策係長
                                                渡 邉 誠平本照麿氏写真


 「大丈夫かな?」時間は夕方5時過ぎ。明日は普通に出勤しなければならないのに、
秋田県内を運転している私。だんだん暗くなっていく日本海を横目に見つつ約500km
の道のりを走り続け、日を跨いで自宅に到着。数時間寝て何とかその日は遅刻せず出
勤・・・。
 どう考えても東井悠友林の事業「心身の健康の保持・増進」とは相容れないような
行動ですが、これに近いことを何回もやっている私。
 「エッセイ書いて。趣味のことでも何でもいいから」と東井さんから頼まれ、「自
分の趣味って何だろう?」と考えている中で浮かんできたのが先程の行動。「ドライ
ブ」と言っていいのか分かりませんが、あえて行程を束縛せず自車で走り回るスタイ
ルがここ10年以上続いているので、「これが趣味と言えるかも」と思った次第です。

 周囲を浅間山や八ヶ岳といった山々に囲まれ、日本一の長さを誇る千曲川(信濃川)
が貫流し、「日本で海から一番遠い地点」を有する佐久市に生まれ育った私は、大学
の4年間と、厚労省にお世話になった時に住んでいた東京を除き、佐久市以外の生活
というものを知りません。
 もともと地理・歴史の類は好きだったので、行ってみたい場所は沢山ありましたが、
車の免許を取得しても積極的に旅行に行くということはありませんでした。今思えば、
「仕事を離れ、楽しむための旅」をしたいのに、宿や目的地までの距離の関係で、時
間や段取りに追われるのが億劫だったせいだと思います。

 それが変わったきっかけといえば、夏休みに友人と車で「行き当たりばったりな旅」
を経験したことが挙げられます。「高速道路は使わず、日本海方面に行って戻ってく
る」位しか決めてなかったような気がしますが、カーナビもついていない車で「その
日のうちに行けるところまで走る」「途中で寄る場所はその場で決める」といった感
じで出発。
 一日目は海沿いを走って和倉温泉に立ち寄り、多分羽咋市の辺りで一泊。二日目に
は東尋坊に寄り道しつつ舞鶴まで。三日目は天の橋立に寄った後、なぜか琵琶湖に向
かうこととなり、地図だけを頼りに国道477号を使った結果、その筋では有名な「百
井別れ」の印象が強かったことから「酷道」という言葉を覚え、奈良の東大寺に寄っ
た後は静岡の浜名湖辺りで力尽き、四日目で佐久市に戻るという行程でした。
 この旅で、「色々決め過ぎない」「行き当たりばったりで、トラブルがあってもそ
れを受け入れて楽しむ」というスタイルが自分に合っていると気付き、その後、一人
で走り回るきっかけとなりました。
 平成18年(2006年)、車を乗り換えたことをきっかけに、本格的に日本各地
を巡るようになり、北は北海道宗谷岬から南は鹿児島の佐多岬、西は長崎の生月島ま
で・・・沖縄県を除く全ての都道府県を自車で訪れることができました。
 小さい頃はすぐに車に酔い、軽井沢(自宅から20km位)に行くまでに具合が悪
くなったこともあるくらいでしたが、時が経てば丈夫(鈍感)になるものです。

 基本的に高速道路や街中の道よりも、空いている道を走ることが好きなので、有名
観光地には立ち寄ってなかったり、その土地の名物を食べ損ねたりということはいつ
ものこと。山道を走っていたら崖が崩れていて延々バックで戻ったり、鹿や猿だけで
なく熊に遭遇したり・・・その時、その場所でしか見ることができなかった景色や経
験は、自分の(中だけですが)宝物になりました。
 この間、新しい道路や施設ができる一方で、地震や水害、老朽化などにより通行止
めもしくは廃道となり、現在は通れない場所や取り壊されてしまった施設なども増え
てきています。つまり、今行っておかないと、二度と見ることのできない景色が増え
ています。
 そんな場所を一箇所でも多く訪れるため、「今度はいつ、どこに行こうかな~」と
妄想している時は楽しいのですが、いざ出掛けるとなると、年齢を重ねるごとに実感
する体力の低下に加え、仕事や家庭環境の変化もあり、以前ほど気軽に遠出できる状
況ではなくなってきているのが現実なのです。
 こんな趣味(?)、人にお勧めできるものではありませんが、「こんな人もいるの
ね」程度に生暖かい目で見守っていただけると幸いです。
     

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