グルーミング(ふれあい)
|
「新型コロナウイルス感染症」は、今だピークを越えた兆しは無く、日本中、いや世界中 を席巻している。 日本国内の現時点(3月5日)の感染者総数は1057名、死者は12名。 果たして、この数値をどの様に解釈すればいいのだろうか。 勿論「新型」なので、現時点では対応するワクチンや治療薬が用意されておらず、全く油 断は出来ないが、私は「それにしても少し騒ぎすぎではないか?」という感じなのだが。 ちなみに、昨年(2019年)1月の1か月間の「インフルエンザによる死亡者数(医師 がインフルエンザを死因と認めたもの)は、1685名。毎日54名ほどが亡くなってい るのだ。そして同年9月までの死亡者数は3252名に! こうしてみると、従来のインフルエンザ「A/H1pbm型」や「香港A型・B型」は、とてつも なく脅威な感染症なのだが。 しかし、昨年まで、いや今年の年初までは「65歳以上の方はインフルエンザ・ワクチン 接種を」「予防のために手洗いとうがいを」という広報が流れる程度で、ことさら「今日 はどこそこで、新たに何人の感染者。今日も50名を超える死者!」などとマスコミで大 騒ぎすることは無かった。 それに比較して、この「新型コロナウイルス」騒動(政府とマスコミの対応)は極めて不 可解。 先日、安倍首相は「3月からの小中高校の一斉休校を!」と、突然に表明。 さらに今更と感じたが、昨日(5日)には「中国(香港・マカオを含む)と韓国からの入 国制限を強化する」などの対応策を発表。 確か「製造業の工場などの日本回帰、又は東南アジアなどへの移転検討」も示唆したはず。 現時点では予断は許さないが、私は「新型コロナでこれほどに・・・」という感をどうし ても禁じ得ないのだが。 何かもっと大変な「事実」と「策略」が秘められているのだろうか。 この騒ぎで、株価は連日の下落(現時点で、日経平均20750円。 株価暴落、インバウンド(訪日外国人旅行者)の激減、輸出入の衰退、国内産業の経営危 機など、日本経済はとてつもない試練に直面してきた。 さらに、昭和天皇の崩御の際に「国民皆が喪に服すため、おめでた、宴会、歌舞音曲の自 粛」を政府が国民・関係団体に要請した時以上に、今回は「集会、イベントなどの多数人 による催事自粛。時差出勤やテレワークなどの在宅勤務奨励、マスク着用、不要な外出自 粛」などを国や地方自治体が執拗に喧伝。 お蔭でスポーツ競技や芸能関係のイベントは無観客試合や延期・中止に。 さらに、都知事などが「今年の花見は自粛を」と都民・住民に要請しているので、世の中 は重苦しい雰囲気に。 国民・地域住民も「右向け右!」の号令で、全く混乱なくどこもここもが従順にならって いる現実は、戦後72年間生きてきた私にとっては、まさに未曽有の光景。 「いよいよ国家統制、国民総動員体制の準備も整ったか」という感慨すら浮かんでくる。 今日の昼は、あの渋谷のスクランブル交差点を歩いてきた。 街はここ10年ほど見たことのない落ち着き(沈滞)があった。 外国人の姿が殆どなく、勿論、日本人の姿もいつもの半分以下。 喫茶店やレストランは客もまばらで静かなもの。 「ああ、昔の良き渋谷の街が帰ってきた。これで、昔の東急文化会館や映画館などがあっ たら、何て嬉しいことだろうか」と、一瞬思ったほど。 私にとっては、これがコロナ禍の中でのせめてもの救い。 「閉塞感・不安感」に包まれている日本社会。 この3月の明るい光を浴びて陽気になれる時が、はたしていつ来るのだろうか? これからの日本は、政治や行政や企業の劣化・機能不全、経済恐慌、国際的孤立化、安全 保障の危機、大災害の発生、社会の荒廃化が十分に危惧される。 そう予測するのは、私だけだろうか。 安倍総理は施政方針演説や国会答弁や記者会見で「日本を二度と、民主党政権時代のよう な暗黒の時代に、戻すわけにはいきません!」と耳にタコができるほど強調してきたが、 今これからが、まさに「暗黒の時代」にならないよう、心から祈るばかり。 一方、「新型コロナウイルスを防御し、暗い社会をエスカレートさせないために、私たち にまず出来ることは何か。 私は、先日「新型コロナウイルス」に関するエッセイで述べていた、渡邊 昌先生と星 旦 二先生の含蓄ある「自己免疫力の強化」が、目先の問題解決に狂奔するだけではなく、こ れから先を見据えた根本的対応策と思っています。 要約すると極めて明快。 栄養(バランスの良い栄養。楽しい食事)・運動(ウオーキングなどの有酸素運動)・休 養(良質な睡眠、ストレスを溜めない工夫、明るい心)の励行。 私はさらに付加して「グルーミング」を提唱します。 これは渡邊・星両先生のエッセイ内容と通底しますが。 グルーミングとは、「人と人とがふれあう行為。家族や仲間や他人と交流すること。 楽しくコミュニケーションをとること」 グルーミングは、ストレスから心を守るセロトニンという脳内物質の分泌を盛んにすると のこと。 同様に、こういう指摘もあります。 「75年にわたって実験されたハーバード成人発達研究の結果で、私たちを幸せにしてく れるのは、富でも名声でも無我夢中で働くことでもなく『良い人間関係を作ることに尽き る』という事であった」(元香川大学学長・長尾省吾氏「文化連情報2020年3月号」から) 勿論、「家族・友人・コミュニテイと良くつながっているほど幸せで、健康・脳機能も良 く保たれる」ことは言うまでもありません。 今は、戦後最大の日本の大転換期。 お互いに悔いを残さずに生きていきましょう。 それでは良い週末を。 |