〜 札幌からの6年ぶりのメール 〜
札幌市環境局長
米 田 智 広
■ はじめに
今年の春(令和5年3月末)をもって、札幌市役所を卒業することといたしました。
昭和62年7月に札幌市に奉職し、以来、35年9か月勤務しておりました。そのうちの2年間
は、東井さんと一緒だった厚生省への出向期間でした。
今回、卒業を迎えるにあたり、あらためて寄稿の機会をいただきましたので、前回の続きを、
少し述べてみます。
■ 札幌市環境局はクマ対策も所管
「さすが北海道やな!」と感心したのは、関西の某市職員の友人。
昨年、久しぶりに連絡を取り合った際、私の所管事務にクマ担当もあることを伝えると、返っ
てきた言葉です。
札幌市の市域面積(1,121平方キロメートル)の約半分は山林で、家屋の後背地がすぐに山林
という住宅街も多く、その境界付近では、しばしばクマが出没しているので、クマ担当の課(名
称は「環境共生担当課」)があるのです。やはり、札幌市は日本でも稀有な大都市なのでしょう
か。
私が環境局に着任したのは令和3年4月。その2か月後である6月18日の早朝のこと。その
日は、担当からの連絡がある前に、クマを追跡する警察車両からの警戒アナウンスで起きたので
すが、驚くことに、拙宅(札幌市東区)のすぐ近くにクマが出没しておりました。東区は平坦な
エリアで、山林からはかなりの距離があることから、まさかクマが自宅周辺まで出没するとは全
く想像もしませんでした。結局、このクマに4名の方が襲われて怪我をし、警察や猟友会などに
よる大捕物の末、その日の午後に駆除されました。札幌市の北側にある当別町の山林で、縄張り
争いで負けた雄クマが新たなパートナーを求めて、石狩川を横断して札幌に来たようです。
なお、環境局の主たる業務は、ごみの収集・処分・リサイクルといった衛生的な市民生活の確
保対策や、温室効果ガスの抑制などの地球温暖化対策、アスベストや化学物質対策などです。
■ 札幌人から見た札幌の意外なこと?(その2)
前回の投稿に引き続き、札幌人の意外なことを少し紹介します。
@ 真冬の屋外駐車場ではワイパーをたてる
これは、屋外の駐車場などでは、当たり前のように見られます。
ワイパーは、ほぼ全体をゴムカバーで覆われた冬仕様のもので、それでも車の暖かさで融けた雪
が再度凍って、窓ガラスに密着してしまう場合があり、それを嫌ってのことです。
なお、北海道では、皆、冬の前に冬専用タイヤを装着しますので、多少の降雪でもチェーンは
つける必要がなく、これまでチェーンをつけた経験がない札幌人が多いです。実は、私もありま
せん。
A 甘い赤飯
北海道における赤飯といえば、食紅で色付けし、甘納豆をトッピングするのが定番です。小豆
で色付けした一般的な赤飯から想像すると、非常に大きな違和感を持つ人も多いと思います。で
も、一度食してみてください。意外と美味しいですよ。
B ラッシュ時でも優先席(いわゆる、シルバーシート)に座る人はほとんどいない
他の都府県の車中では、「高齢者などがおらず、優先席が空席の場合は、一般の乗客が座って
いる」場面をよく見かけますが、札幌市の地下鉄では「かたくなに座らない人がほとんど」で、
いつも空席になっています。もっとも、首都圏などよりも乗車率が低く、車内空間には比較的余
裕がありますので、座る必要がないのかもしれません。
あと、全国的には珍しく、地下鉄の車内には網棚がありませんので、間違って鞄などを置くと、
座っている人の頭を直撃しますので、ご注意を!
C なぜか地下街では左側通行
地下街には、センターラインがなく、もちろん規則などもないのですが、きれいに真ん中で仕
切られたように、皆、左側を歩く傾向があります。一部、旅行客などが流れを阻害するかのよう
に右側通行している人もおりますが、左側通行が市民の慣行となっております。
理由は諸説あるみたいです。今度、機会がありましたらお話ししたいと思います。
■ おわりに
この春から、いよいよ、私も新たな次の人生のステージに進むことになり、いろいろな環境が
変化する春になります。その中で、変わらないことの一つは、この「悠友林」の会とのご縁。
これは引き続き、大切にしてまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
東京から遠方ということもあって、東井悠友林の会合に、私は一度も出席できておりませんの
で、簡単に自己紹介からさせていただきます。
私は札幌で生まれ、ほぼ札幌で育ち、仕事も札幌市役所に奉職(今年で30年)しております。
人生の8割において札幌に在住しております。
そんな道産子ブランドの私ですが、一度だけ北海道以外で暮らしていたことがあり、それは厚
生省(当時)本省に派遣となった平成2年から4年にかけてです。厚生省生活衛生局で一緒に仕
事をさせていただいたのが、東井さんとの最初の縁となります。ご本人の人柄に惹かれるととも
に、東井さんには、いろいろなことを教えていただいた貴重な2年でありました。
さて、この度の寄稿。人様に紹介できるようなエピソードにも乏しく…、考えた結果、札幌
(北海道)の意外な一面、特に「冬」に関連した事柄について、私なりの視点で紹介したいと思
います。皆様にとりまして、思いも寄らないことがひとつでもあればうれしいです。
「札幌の冬には3つのピークがある」
冬至冬中冬初め、といいますが、この冬至は「光」のピークで、12月21日前後。「寒さ」
のピークが1月下旬。大寒と立春の間。ここまでは全国共通です。こちらでは、もうひとつ、
「雪」のピークがあり、2月20日頃がもっとも多く(平年値は100cmの積雪。ちなみに、
ひと冬の累積の降雪量は計約6m)なります。さっぽろ雪まつりは、例年2月11日が最終日で、
その翌日から雪像を壊し始めますが、これを見かけると雪融けの季節がもうすぐ、ということを
感じます。
「梅の開花に季節を感じることはない」
「梅は咲いたが…」ということには、まったく実感がありません。梅も桃も桜もゴールデンウ
ィーク前後に一気に咲き始めます。ただ、花見はしますので、桜には季節感を感じます。当然、
花見といえばジンギスカンです。
「雪融けそのものが春の到来」
「根雪」と言われる、札幌に積雪のある期間は4ヶ月くらいほど。我々の感覚としては、
「冬」=「雪」。からっ風も、寒いことと思いますが、我々にとって、雪がなければ、冬っぽく
は感じられません。
「札幌人も、けっこう滑って転ぶ」
つるつる路面には慣れているはずなのに、けっこう転んでいます。慣れていない冬の始めの頃
は要注意です。場所としては、地下鉄などの出入り口や、横断歩道、もちろん酔っ払って歩く
「すすきの」の路地はかなり危ないです。
若い人は転んでも、わりとダメージが少ないものの、しだいに身体が硬く、骨がもろくなるの
か、年齢が高くなるにつれ大怪我している人がけっこういます。骨折、靱帯損傷などなど。私の
札幌市役所の知り合いで、救急車で搬送され、しばらく入院を余儀なくされた人も多く…この場
ですぐに少なくとも5名の名前が思い浮かびます。
「神田川の歌詞にある、小さな石鹸カタカタの前に、洗い髪が凍ってバリバリ」
真冬に入浴後、ドライヤーをかけずに厳寒の中、数分歩くと髪がバリバリに凍ります。自分の
凍った髪、触ってみるとなかなか面白い感覚です。
「当然、暑いのは苦手。実は、寒いのも苦手」
札幌の真夏日は平均で年間8日間ほど。平成15年など、1日も真夏日になりませんでした。
故に、暑さに弱いのは推して知るべし、というところです。
では、寒さに強い?いえいえ、そういうことはありません。冬はストーブ完備の室内でぬくぬ
くと過ごしますので、部屋の中が「うすら寒い」のはかなり苦手です。暖かな部屋で、ビールや
アイスを堪能する。これは、北海道の冬の風物詩(東北も?)です。当然、地球環境に良くはな
いですけど…。
「札幌人はゴキブリを見ても、さほど驚かない」
荷物などとともに津軽海峡を越え、昨今は温暖なビルなどに一部生息しているらしいとは聞い
ておりますが、私や知り合いの中で、北海道内でゴキブリを見かけたという人はおりません。
ということで、札幌人が、東京などで不意に見かけても、ゴキブリとはすぐに認識できないこ
とが多く、特に茶羽ゴキブリなどは、「こおろぎ」に似ているので、さほど驚きません(もちろ
ん個人差はありますけど〜)。
以上、とりとめのない話で恐縮ですが、紹介させていただきました。このほかにも、全国的に
見て、札幌人(北海道人)の特異(奇異)な部分がたくさんあります。興味のある方がおりまし
たら、またの機会に〜。