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東井悠友林

     〜 わたしの旅 〜  

     神奈川県立多摩高校同窓会長
   (元・神奈川県内水道企業団理事)
          安 部 卓 見        

   
  中南米解放の英雄・シモン・ボリバル邸で、
 コロンビア・ボゴタの小学生との記念撮影です

 私の趣味の一つは、海外旅行。
 この20年、「海外ひとり旅」で33ケ国を訪問しました。
 昨年からの1年半(66〜67歳)では3回渡航し、中南米6ケ国・アフリカ2ケ国・北米1ケ国の計9ケ国・13都市を周遊しました。
航空券(6つの航空会社)の手配及びホテル(19カ所)の予約などは、すべてインターネットを活用し、自分で行います。
 毎回、周到な準備をした積りもりでも日本を離れる前はいつも期待と不安が入り混じり、実際、海外では予想もつかない事態に遭遇し、パニックに陥って恐怖を感じることもあります。
 しかし、それを乗り越えたときの達成感がなにものにも代え難いのです。くたくたになって帰国しても、またすぐ次の計画を立てることを繰り返しています。
 予想もしない事態に遭遇した例は数知れず。例えば、先月訪れた南米コロンビアの首都ボゴタでの出来事も、ほんの一例。
 昼下がり、人通りの多いビジネス街を散策していた時のことです。
 ベネズエラから来たという温厚そうな老人が英語で「どこから来たの?」と話しかけてきました。「ハポン」とこたえると「そうなんだ」と笑顔でうなずく老人。ボゴタの地図を手に、ボゴタを散策しているようでした。
 二人で少し歩いたところ、中年のバリッとしたスーツとネクタイ姿の、いかにもビジネスマン風の紳士があらわれ、警察手帳のようなものを開き「インターポールのものです」と話しかけてきました。確かに、提示された身分証にはInterpolと表記されていました。
 私はめずらしい人に会ったものだと、紳士の容姿を眺めまわしました。
 すると、その紳士は私と老人に「IDは?」と尋ねます。  老人は間髪おかずカードを取り出します。
 視線をおとした紳士は了解したようにかぶりを縦にふり、私に「貴方は?」と。
 「パスポートならホテルに置いてあるけど」
 「それならワンブロック向こうで話を聞こうか」と穏やかに誘導するのです。いつの間にか老人は消え去っていました。
 歩きながら、私は「パスポートを見たいのならホテルまで一緒に行こう」と言っても微笑むだけ。ワンブロック進んだところで右に曲がりました。
 大通りから外れた道に入ったところで、私は怪しいと直感して立ち止まり「ホテルに帰るよ」ときびすを返すと、紳士は何事もなかったかのように雑踏の中に消えて行きました。
 制服姿のニセ警官が財布をまきあげるという話はよくあり、先日も友人夫妻が渡航先で被害にあった話をきいたばかりですが、スーツ姿のニセ・インターポールはこれまで聞いたことがなかったので、危うく身ぐるみ剥がされるところでした。
 このような危ないことに何度も遭遇しながらも(実際、えらい被害に遭った事もありますが)、やはり海外ひとり旅から受ける刺激的魅力は色褪せることがありません。
  加齢とともに衰えていく日常の体力・気力・集中力。それを日々「旅の技術力・危機管理能力」の研鑽と、旅先で健康を損なわない体力づくりに励み、これからも未知の地域を旅しようと心をときめかせているのです。