本文へスキップ
東井悠友林

~ 季節は変わる 時は流れる ~

    株式会社サンライフ企画・参与
         山下 末裕  
   
      
 元荒川に新しい砂州が生まれた。5月連休中のことだ。
 2、3年前、川沿いにウオーキングコースが出来たのは知っていたが、車で側を通る時に見るくらいで、歩いたことは全くなかった。
 60歳までは、土、日、休日は近くの埼玉県民健康福祉村まで走り、1週2キロのトラックコースを5周して家まで帰っていた。よく食べる分、体重コントロールを行っているわけである。しかし、家から2.5キロくらい離れたところに畑を借り、走るのを止めた。休みの日はそこまで歩いて2往復することにしている。
 北方謙三のエッセイ集「十字路が見える」で「さあ歩こうか。遠方の一点に視線を据え、遮二無 二歩いている・・・。私とすれ違うときは、気をつけろよ」という行(くだり)を読み、私もそんなウオーキングをしてみようと思った。
今年2月、新しく歩くコースを見つけた。90分、全力で歩くウオーキングコースだ。元荒川沿いのコースもその一部である。
 元荒川は、埼玉県越谷市で大きく弧を描いて流れている。神明橋を渡り、逆方向に元荒川沿いを歩く。4月初め、幹が2.5メートルほどもある見事な桜木が、2キロほど続く元荒川沿いを歩く。5月、この川から田水路へ水が引かれる。そのため、水量が減り、新しい砂州が生まれたのだろう。

この川に棲みついているのか、歩き始めたころ、30羽ぐらいのカルガモがしばしば見られた。4月半ば頃からは姿を消してしまっている。土手沿いに 芝桜が植えられているが、まだ、根付いたとは言えない。スイセン、三色すみれ、も植えられている。その横を全力で歩いていく。越谷市役所前の橋を渡り、川沿いを戻る。この前まで、藤の花が満開であった。6月の梅雨の時は、川沿いに花菖蒲が咲き誇る。90分歩くこのウオーキングコースは、全く飽きない。

 今のサンライフ企画に転職する前の会社も、出版社だった。社長が大蔵省詰めの経済記者だった人で、都銀、信金、信用組合のコンサルタントをやりながら、出版を行っていた。顧問の人たちも名の知れた経営評論家が何人もいた。
 信用金庫のコンサルの折、知り合った筑波大学の古藤先生との出会いが「ウオーキング」との出会いとなった。先生に原稿を執筆いただき、「身体改造法」を出版した。1万冊前後の売れ行きで終わった。続けて出版に関わっていきたかったのだが、金融機関のコンサルタントでもある社長の方針とは合わず、希望は聞き入れてもらえなかった。
 そこで転職したわけである。当時「身体改造法」を厚生労働大臣認定運動療法施設の方々に、多く買っていただいた。サンライフ企画に入ってからも、この運動療法施設、健康運動指導士の方たちとのお付き合いは長く続いている。日本ウオーキング協会主催の、平成の伊能忠敬「ニッポンを歩こう」21世紀への100万人ウオーク、にも関わらせてもらった。協会会員5万人分の「伊能ウオーク」パスポートを2年間にわたって制作させてもいただいた。
 長年、季節は変われど、健康日本21、介護予防、特定保健指導などの厚生労働省の健康施策を追いかけながら、今日に至っている。出版社も紙の時代からデジタルの時代へと言われて久しい。これからは私がチャレンジしたものが、どのように育っていくのか、時代の流れの中でしっかり見据えていきたいと思っている。