東井悠友林
~子ども達の笑顔と共に~
元・(株)日立メディコテクノロジー部長
中 澤 一 郎
昨今、「子どもの居場所がない」という言葉を多く聞くようになりました。
昔も与えられた居場所は在りませんでしたが、自分たちで近くの田んぼや雑木林や公園の池などで遊んでいました。学校の校庭も放課後は遊び場でした。
今の社会は、いつの間にか難しくなってしまいました。雪が降っても校庭にはでられません。
子ども達の世界にも管理社会が乗り移っています。
立派な家は塀で囲まれ、マンションは扉一つで赤の他人です。孤立と孤独の世界で、地域のコミュニティーは崩壊してしまいました。
子ども達は安全に管理された場所でしか遊ぶしかなく、家にこもってゲームに熱中しています。
子どもは未来の日本を支える、世界を支える大切な宝物です。
私は今、卒業した小学校の同窓会をとおして学校の安全管理の仕事につき、子ども達との触れ合いの日々を過ごしています。
子ども達は学校が終わると学童クラブに行く子、習い事に行く子、塾に行く子、とさまざまです。
その中には父兄の共稼ぎで「かぎっ子」の子や、貧困のためどこにもいけない子もおります。
私の家から3軒離れた所で、賃貸住宅の1階をコミュニティースペースとして開放している立派なオーナーがおられます。そこの荻窪家族プロジェクト「百人力サロン」の力を借り、NPO助成金をいただき、5月から「百人力てらこや」を開設しました。小学校1年から6年生が対象で「算数」を教えます。宿題をする子もいれば自由勉強をする子もいます。
はじめは大変でした。大人3人で10名ほどの子どもを見ていますが、1年生から3年生はまだ子どもの域を脱していませんので、騒いだりテンションが上がってなかなか集中しませんでした。
(1人で30名から35名の生徒を見ている学校の先生は、さぞかし大変なことだと思います)
今は子ども達にいろいろな係りを与えて自分たちで進めるようにしたことで、落ち着いてきましたし、楽しく勉強できて保護者からも感謝されています。
午後3時頃になると、子ども達は参加費の100円玉を握りしめて来ます。そして4時にはお茶の時間でお菓子も出ますので、大喜びです。
「百人力てらこや」を開設したときは、子ども達がどのくらい集まるか心配でしたが、今はお断りせざるを得ないほどの盛況となりました。お陰様で、子供たちの笑顔と共に過ごす毎日です。